理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: NO470
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測定・評価
超高齢者への運動負荷について
瞬時心拍数検査プログラムを用いての評価
*町田 靖手塚 昌男土田 真司和平 美香五味 和美高林 亜希子宮下 志津子
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抄録
【はじめに】臨床の場で超高齢者(90歳前後)が増加している。超高齢者のADLは、歩行可能から寝たきりまで様々である。従って、運動療法を行う際、心疾患等のリスクの上に超高齢者の生命予後を考えつつ行う必要があると思われる。今回、超高齢者における運動療法の有効性の評価法として心拍数とR-R間隔のスペクトラム解析による自律神経系の評価を行ったので報告する。【対象と方法】対象は当院療養型入院患者で、明らかな心疾患を除く26例(男性6例、女性20例:平均年齢86.5±7.4歳)とした。13例は医師から運動療法が処方されている患者(平均年齢83.7±7.8歳、以下リハ群)で、13例は処方されていない患者 (平均年齢89.3±5.8歳、以下非リハ群) であった。心電図は、心電図テレメーターシステム(フクダ電子)を用いて記録し、AD変換後コンピューターに取り込んだ。記録時間は10分間とした。心拍数検査プログラムに平均心拍数とR-R間隔のスペクトラム解析により総パワー、HF,LFを求めた。測定条件は、歩行可能であれば歩行、立位可能であればTilt Table60度、座位可能であればW/C座位、不可であればギャッジアップと大別した。またFIMにおいても入所時、測定時の4群とし、比較検討を行った。統計学的検定はt検定を用いた。【結果】R-R間隔のスペクトラム解析では総パワー、総パワーの中の低周波成分(SNSパワー)において、非リハ群がリハ群に比べて有意に高値(p<0.05;総パワーリハ9.8±12.8、非リハ34.8±45.1;SNSリハ4.1±5.3、非リハ13.8±16.4)であった。瞬時心拍数グラフでは、リハ群より非リハ群に不規則な上下動曲線が多い傾向にあり、突発的な心拍変動が著しい例が、リハ群で2/13、非リハ群で7/13であった。FIMにおいて、リハ群の測定時は入所時に比して有意に高値(p<0.05;入所時38±27.3、測定時54.4±29.7)であった。非リハ群では有意差は認められなかった(p>0.27)【考察】心拍変動のスペクトラム分析は、心血管系の評価のパラメーターの一つとして特に自律神経の評価に用いられている。総パワーは、スペクトルで変動が大きいほど高値となる。急激な心拍数の変動は総パワーを増加させるため、適切な運動負荷による心拍数の安定化がリハ群にもたらされたものと推察される。また、不規則なベッド、車椅子間の生活では得られないリズム形成(サーカディアンリズムへの働きかけ)にリハが関わっているのではないであろうか。以上の事より、運動負荷を行う際に、PTの適切な評価が成されていたものと考える。よって、超高齢者においても評価と治療の専門性は重要であり、瞬時心拍数ならびに総パワーの評価とそれを考慮したプログラム作成が治療の一助となる事が示されたのではないであろうか。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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