理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: NP285
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測定・評価
高齢者における足圧中心移動範囲と体幹運動の関係
*竹内 弥彦下村 義弘岩永 光一勝浦 哲夫
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抄録
[はじめに] ヒトの立位姿勢の安定性を考えていくとき,支持基底面内での重心を足部に投影した点,すなわち足圧中心(以下,CFP)の随意的移動範囲が重要であると考えられる。運動方略における自己始動動揺制御に用いられる運動に関する先行研究では,主に前後方向を中心に述べられているものが多い。今回,いくつかの制限下における自己始動動揺の制御運動に関して,側方移動時の高齢者と若年者の特性を調べ検討したので報告する。
[対象] 平衡機能に問題のない健常高齢者19名(平均年齢67.9±3.7歳),健常学生15名(平均年齢20.9±2.5歳)の計34名とした。
[実験方法] 対象(高齢)者には実験の趣旨を説明し同意を得た後,計測を行った。被験者にはフォースプレート(重心動揺計G-6100;アニマ社)上で両上肢を組んだ開眼ロンベルグ肢位をとり,以下のような課題動作を行わせた。安静立位保持後,転倒しない範囲でCFPを最大限右方向へ移動し,その位置で立位姿勢を5秒間保持,もとの肢位へ戻る。この際の側方CFP移動範囲を測定した。また,動作中の体幹の動きを知るために,両肩峰・両上前腸骨棘(以下,ASIS)に磁気トラッキング装置センサ(Fastrak;Polhemus社)を取り付け,各データを取り込み時に同期させ記録した。
[分析方法] CFP移動範囲は両側足幅の百分率で算出し,体幹の動きは前額面上における右肩峰(側方,下方,斜方向成分),右ASIS(側方向成分)の動作開始位置から最大移動位置までの距離を求めた。得られたデータよりCFP移動範囲を高齢群・若年群で比較検討し,右肩峰・右ASISの各方向移動距離とCFP移動範囲の各データの相関関係を求めた。統計処理は高齢群と若年群との差の検定にはWelch testを用い,各データの相関にはPearsonの相関係数を用いた。
[結果] 高齢群のCFP移動範囲,ASIS右方向移動距離は若年群に比較して有意に小さかった(p<0.001)。高齢群においてはCFP移動範囲と肩峰斜方向移動距離の相関係数は0.739であり高い相関を認めた(p<0.001)。若年群においてはCFP移動範囲とASIS側方向移動距離の相関係数が0.567(p<0.05)で相関を認めた。
[考察] 高齢群においてCFP移動範囲と肩峰斜方向移動距離に高い正相関を認めたことは,高齢者では随意的にCFPを側方移動させる際には,主に体幹の側屈(傾き)を用いていることが考えられた。一方,若年群ではそれらに相関関係は認めず,CFP移動範囲とASISの側方向移動距離とに低いながらも正相関が認められたことから,若年者のCFP側方向移動は主に骨盤の水平移動を用いていることが考えられた。これらのことから,随意的な側方向CFP移動時においては,前後方向と同じように高齢者と若年者では異なった姿勢方略を用い,さらにいくつかのパターンがあることが考えられた。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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