抄録
【はじめに】当院は特殊疾患病棟108床、介護保険病棟43床を持ち、その中で我々は一般的に言われる「維持期」であり、且つ高齢な方々を対象としてリハビリテーション(以下リハ)を行ってきた。維持期リハでは、有効的なプログラムの作成は困難であることが多々ある。そのような中で、当院では介護軽減・自立支援の新戦略として、パワーリハビリテーション(以下パワーリハ)という新しい手法を取り入れた。過去、100歳超高齢者のリハ効果の報告は皆無であるが、今回、極めて異例である102歳超高齢者にパワーリハプログラムを導入したのでその経過を報告する。【症例】102歳女性。平成11年4月、当院に入院される。主な疾患名は変形性膝関節症、骨粗鬆症、上室性不整脈などが挙げられる。現在の介護度は要介護3、障害老人自立度B2、痴呆性老人自立度はIである。パワーリハ開始前のリハプログラムは関節可動域運動、徒手抵抗や重錘負荷での上下肢筋力維持運動、平行棒内での歩行練習などの標準的なリハプログラムを状況に応じて実施した。【経過】平成14年7月よりパワーリハプログラムを開始した。週に3回のリハビリ実施日を設定し、その中で週に2回のマシントレーニングを行っている。当初はパワーリハ研究会が推奨しているマシン6機種の中で、ホリゾンタルレッグプレス(以下LP)とレッグエクステンション(以下LE)という2機種の導入を試みたが、LEは施行後、血圧変動が著明であり疲労感の訴えがあった為、主治医との相談の上、中止とした。現在のマシントレーニングはLPのみを実施している。このLP実施後は、問題となるような症状は現れていない。またパワーリハ導入初期時は、運動終了時点で「疲れた」という発言も多く聞かれていたが、今ではほとんど聞かれなくなった。その他リハプログラムとしては、ウォーミングアップや上肢、体幹に対する筋力維持運動、平行棒内での立位バランス練習や歩行練習などを実施している。マシントレーニングに関しては導入期から、興味を持って行われている。マシンへの移乗は導入開始時では全介助にて行っていたが、現在では立ち上がり動作時とマシンセッティングの介助場面に限定されている。開始時は2.5kgであった負荷量が、現在では6kgに増加している。またパワーリハ開始前は、膝関節内側の疼痛を訴えられ歩行練習を中止することもあったが、現在ではその訴えも激減し、予定しているプログラムをスムーズに遂行できるようになった。さらに現在では「機械(LP)に乗ってみましょうか」という内容を自ら話されることもあり、意欲の向上も認められ、周囲を驚かせる発言等も多く聞かれている。【考察】本症例におけるパワーリハは、超高齢者を対象とした維持期リハにも有効な手法である可能性を有している。パワーリハには対象者が「リハビリは楽しい」と感じさせる効果があると考える。今後は如何にその適応と効果判定を評価するかということが我々の課題であると考える。