理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 749
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理学療法基礎系
視覚情報フィードバックによる運動調節効率の検討
*加藤 理恵田口 孝行石崎 耕平山本 友紀原嶋 創小川 恵美井口 佳晴中山 彰一
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抄録
【目的】
 高齢者の転倒の要因の一つとして、視覚から得られた情報を運動に変換する能力(視覚情報フィードバック能力)の低下があげられる。今回我々は、この視覚情報フィードバック能力を測定できる可能性を有する機器を考案し、視覚情報フィードバックを基にした運動調節効率について検討することを目的とした。
【方法】
 傾斜板(ディジョックボード(酒井医療社製))に加速度計を取り付けることによって、傾斜板の傾斜方向と傾斜角度をコンピュータ画面上四分円上にリアルタイムで表示することができる。その傾斜方向と傾斜角度を示す点が四分円の中心にあるときは傾斜板が水平であることを示し、中心よりも上方または下方にある場合は前後方向への傾斜、右または左にある場合は左右方向へ傾斜していることを示す。
 本研究では、目標方向を傾斜板の8傾斜方向(45°間隔)、目標角度を傾斜板の最大傾斜角度の80%に設定した。各8個の目標点の一つに到達後、一度は中心点に戻るよう設定した。したがって、到達するべき目標点は合計16個とした。
 被験者は20~70歳代の健常女性73名とした。内訳は20代20名、30代8名、40代9名、50代8名、60代16名、70代12名であった。被験者には加速度計を取り付けた傾斜板上に両足を置いた椅子座位をとらせ、上記の設定にて全16目標点に到達できるまでの所要時間と角度変化を計測した。角度変化については前後方向及び左右方向における移動量から角度変化指数を算出した。測定は試行間に3~5分間程度の休憩を入れ3回試行し、3回目の値を分析に採用した。分析方法は、角度変化指数について年代を要因とする一元配置分散分析後、Scheffeの多重比較検定を行った。また角度変化指数と所要時間についてはPeasonの相関係数を求めた。
【結果】
 角度変化指数の平均値はそれぞれ20代:828.9±102.6、30代:867.3±108.6、40代:856.9±116.9、50代:1027.1±325.0、60代:1175.0±270.3、70代:1287.5±326.9であった。角度変化指数においては、20代と60代・70代、30代と70代、40代と70代に有意差が認められた(p<0.05)。角度変化指数と所要時間においては有意な正の相関関係が認められた(r=0.908,p<0.05)。
【考察】
 角度変化指数は、視覚情報フィードバックを基にして運動を調節する効率(運動調節効率)を示す指標と考えている。したがって、角度変化指数が大きいほど運動調節効率が低いことを示す。
 本研究の結果より、20代から40代までは角度変化指数がほぼ一定の値を示し、50代以降から増加する傾向を示したことから、視覚情報フィードバックによる運動調節効率は、50代以降より低下することが示された。また、角度変化指数と所要時間には相関関係が認められたことより、所要時間を測定することによって運動調整効率を推定できる可能性が示唆された。
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© 2004 日本理学療法士協会
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