理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1098
会議情報

理学療法基礎系
在宅での歩行能力評価指標の検討
―1.5m歩行の関連因子について―
*藤井 伸一住谷 久美子久保 晃牧迫 飛雄馬阿部 勉徳原 理恵
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【目的】本研究では1.5m歩行スピードに影響及ぼす因子を抽出し,1.5m歩行によって歩行能力を評価することの妥当性を検討,歩行評価としての可能性を探ることとした。

【方法】対象は,慈誠会徳丸病院にて理学療法を実施している入院患者38例(男性21例,女性17例,年齢69.4±11.7歳,身長156.1±10.3cm,体重51.3±7.6kg)とした。対象者の主たる疾患の内訳は,脳梗塞27例,脳出血9例,くも膜下出血2例であった。対象者は開始線につま先をそろえた立位から歩行し,検者は対象者の一側の上前腸骨棘が1.5m,10mの各ラインを通過した時点をストップウォッチにて計測した。歩行課題は,快適速度,最大速度の2条件とし,各速度での施行は1回のみとした。計測された歩行所要時間を分速(m/min)に換算し分析を行った。また,握力,下肢のBrunnstrom stage(以下B/S),できるBarthel Index(以下BI)を測定した。統計学的検討は,歩行速度と年齢,身長,体重,握力,B/S,BIとの相関分析(Pearson・Spearman)を行なった。次に歩行速度を目的変数とし,年齢,身長,体重,握力,B/S,BIの6項目を説明変数としてステップワイズ回帰分析を行なった。

【結果】相関分析の結果は,快適速度で1.5m歩行とB/S間でρ=0.47,1.5m歩行とBI間でρ=0.43,10m歩行とB/S間でρ=0.48,10m歩行とBI間でρ=0.53であった。また最大速度で1.5m歩行とB/Sでρ=0.49,10m歩行とB/S間でρ=0.55,10m歩行とBI間でρ=0.42であり,それぞれ正の相関を認めた(p<0.01)。ステップワイズ回帰分析の結果,各条件での歩行速度全てに対しB/S・BIが有意となり,快適速度10m歩行のみB/S・BI・年齢が有意となった(p<0.0001)。快適速度における1.5m歩行では45%の寄与率(標準化係数/BI:0.48,B/S:0.49)で予測可能な回帰式が得られ,10m歩行では64%の寄与率(標準化係数/BI:0.50,B/S:0.67,年齢:-0.28)で予測可能な回帰式が得られた。最大速度における1.5m歩行では43%の寄与率(標準化係数/BI:0.40,B/S:0.53)で予測可能な回帰式が得られ,10m歩行では52%の寄与率(標準化係数/BI:0.45,B/S:0.59)で予測可能な回帰式が得られた。

【考察】1.5m歩行の歩行能力評価の妥当性の検討として関連因子の抽出を行なった。各条件において10m歩行速度と同様に1.5m歩行速度においてもB/SとBIが影響を及ぼす因子として活用できる可能性が示唆された。今後の課題は, 精神機能や高次脳機能障害の関連,対象者を増やし属性を分類した上での比較・検討を行ないたい。
著者関連情報
© 2005 日本理学療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top