理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 359
会議情報

骨・関節系理学療法
第2・3中足骨頭部痛および胼胝形成を認める足部のタイプ分類
*長田 瑞穂林 典雄中宿 伸哉笠井 勉平野 孝行筧 重和日比野 至伊藤 弘志沈 寿代
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【はじめに】
 中足骨頭部痛は、外反母趾、扁平足、開張足、凹足などの足部障害に認められることは周知の事実であり、low archやhigh archなどのarch障害を主体とし疼痛を引き起こしていることは諸家により報告されている。しかし、詳細に提示されたものは少ない。一般に中足骨頭部痛の主訴を有する足部疾患は横archの低下を伴って発症すると考えられているが、すべての症例で同じarch形態ではない。今回、第2・3中足骨頭部痛と胼胝形成を認めた症例についてX線学的にタイプ分類を試みたので報告する。
【対象および方法】
 平成14年3月~平成14年10月までに来院した足部疾患で第2・3中足骨頭部痛あるいは胼胝形成を認めた21症例35足(男性7例、女性28例)平均年齢51±14歳を対象とした。
 荷重位X線所見より側面像は横倉法のT値、R値、C値、N値、L値を計測し、背面像においてはM1M2角、M1M5角を計測した。側面像にて正常値より低下しているものを扁平足群とした。側面像は正常値であり背面像にて正常値より増大しているものを開張足群とした。側面像にて正常値より挙上しているものを凹足群とした。側面像にて正常値より挙上しており、背面像にて増大しているものを後足部凹足、前足部開張足群とした。どの群にも当てはまらないものはその他とした。
【結果】
 扁平足群は42.9%、開張足群は17.1%、凹足群は14.3%、後足部凹足、前足部開張足群は8.6%、その他は17.1%であった。
【考察】
 限局した中足部痛や胼胝形成は局所的に圧がかかっているために現れる所見であり、中足骨頭部の圧集中を分散させるための足底挿板療法が処方される。しかし、一義的に中足骨頭部のみの除圧を図っても有効な治療効果が得られにくいのはarch形態が異なるためである。今回の結果から同じ中足骨頭部痛を有する足部は4タイプに大別できた。最も多い割合を占めたのは扁平足群で縦arch、横archの低下した後足部から崩れているタイプ、開張足群はLisfranc関節の開きが大きく前足部横archが崩れているタイプ、凹足群は硬くarchが挙上した中足骨の傾斜が強いタイプ、後足部凹足、前足部開張足群は後足部が硬く、柔軟性の低下した後足部のストレスが前足部にかかり崩れているタイプである。いずれのタイプもlow archやhigh archのarch障害によって中足骨頭部痛や胼胝形成を惹起する。同じ症状を呈した症例でも、引き起こすメカニズムは異なり、どのタイプであるのかを評価する必要があると考えられる。
著者関連情報
© 2005 日本理学療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top