理学療法学Supplement
Vol.33 Suppl. No.2 (第41回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 141
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骨・関節系理学療法
変形性股関節症の肩甲上腕リズムへの影響
*矢貴 秀雄高橋 友明唐澤 達典川﨑 桂子青木 幹昌畑 幸彦
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抄録
【目的】
身体個々の部位に疾病があるとその部位の障害のみならず,全身の動作機構の障害となることが少なくない.今回,変形性股関節症を有する症例において股関節疾患が肩関節の動きにどのような影響を及ぼすのかを検証する目的で,肩甲胸郭関節の動きに注目して調査したので報告する.
【対象】
対象は当院で手術予定の変形性股関節症患者9例18肩であり,これを変形性股関節症群とした.検査時平均年齢は58.2歳(25~83歳)で,男性2例・女性7例であった.対照群として健常人10例20肩を選んだ.平均年齢は56.1歳(27~84歳)で,男性3例・女性7例であった.ただし,体幹上腕角(体幹軸と上腕骨のなす角度)150°以上の挙上がとれない症例は2群から除外した.
【方法】
方法は,被検者に端坐位をとらせて頭部と体幹を支柱に固定した状態で両上肢を同時に肩甲骨面上で自動挙上させ,体幹上腕角30°,60°,90°120°および150°での体幹肩甲棘角(体幹軸と肩甲棘のなす角度)をゴニオメーターで計測した.体幹肩甲棘角の変化を肩甲胸郭関節の動きと定義し,体幹上腕30°~60°,60°~90°, 90°~120°,および120°~150°間でそれぞれの動きを求めた.変形性股関節症群と対照群との間での肩甲胸郭関節の動きについてマン・ホイットニ検定を用いて有意差検定を行なった.なお,危険率0.05未満を有意差ありとした.
【結果】
体幹上腕角60°~90°での肩甲胸郭関節の動きは,変形性股関節症群が平均6.3°で対照群が平均3.9°で,前者が後者より有意に大きかった(p<0.01).体幹上腕角90°~120°での肩甲胸郭関節の動きは,変形性股関節症群が平均22.2°で対照群が平均17.6°で,前者が後者より有意に大きかった(p<0.01).その他の体幹上腕角での肩甲胸郭関節の動きでは2群間で有意差を認めなかった.
【考察】
体幹上腕角60°~120°での肩甲胸郭関節の動きは,変形性股関節症群が対照群より有意に大きいことが分かった.これは変形性股関節症を有する症例は,肩関節の機能において懸垂関節から支持関節への移行期に肩甲上腕関節の動きが悪くなっていることを示しており,この原因については今後さらに症例数を増やして検討していきたいと考えている.
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© 2006 日本理学療法士協会
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