理学療法学Supplement
Vol.33 Suppl. No.2 (第41回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 142
会議情報

骨・関節系理学療法
股関節外転筋群に対する徒手的伸張操作とその反応
腰痛の自覚的変化に注目して
*清水 宏吏堀 平人高南 総一郎簔田 織薮ノ内 美沙鴨﨑 悠樹町井 義和
著者情報
キーワード: 股関節外転筋群, 伸張, 腰痛
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【目的】臨床において、腰痛を訴えるケースに我々は様々なアプローチを行なう。我々は股関節外転筋群に対して徒手的に伸張を加えると腰痛が軽減・消失することをよく経験している。今回それらがなぜ起こるのかを痛みの自覚的変化を中心に考察し、股関節外転筋群への徒手的伸張操作の効果について考える。
【方法】本研究の趣旨を理解し協力を得られた、構築学的に変形がなく平衡機能・下肢機能に問題のない自覚的な腰痛を訴える若年男女20名(男性10名女性10名平均年齢23.1才±1.4)に対して、ユニメック社製重心バランスシステムJK101にて下肢荷重検査及び重心動揺検査、テープメジャーを用いてFinger-Floor Distance(以下FFD)、股関節周囲のROM-T、痛みの度合いはVisual Analog Scale(以下VAS)にて自覚的に数値化した。これらを徒手的伸張操作前後で計測し、比較した。徒手的な伸張操作は足底が床面に接地しない高さでの端坐位にて一側の股関節を屈曲内旋位にし、この肢位で上前腸骨棘と大転子間に位置する大腿筋膜張筋と中殿筋に対して強い痛みの起きない程度の圧迫による伸張操作を1分間加えた。これを両側で行なった。
【結果】徒手的伸張操作前後での比較をしてみると、FFDにおいては8.9±5.5cmが3.3±2.5cmと有意な改善が見られた(P<0.001)。VASによる痛みの自覚度も2.4±0.5が0.3±0.7と痛みの軽減が見られた。ROM-Tにおいては操作前後での有意な変化は見られなかった。下肢荷重検査と重心動揺検査結果については腰痛の部位によって数パターンの変化を示した。片側腰部の痛みの場合は改善傾向の変化が見られたが、腰椎部での痛みの場合は著明な変化は見られなかった。
【考察】股関節外転筋群は荷重位では下肢に対して骨盤を引きつける働きをする。しかし股関節がタイトネスな場合には、股関節でのショックアブソーバー的な機能が低下し、それを補う為に、股関節より近位部の過剰な働きが強いられることで腰部の自由度が低下し、結果的に腰部へのストレスが高まり、腰部での痛みが出現すると考えられる。今回、股関節外転筋群に対して徒手的に伸張操作を加えたことで、股関節-骨盤間のタイトネスが一時的に緩和され、片側に痛みが出現している場合での痛みの減少を得ることができた。しかし、腰椎部に痛みのある場合では結果に変化が得られなかった。このことから筋-筋膜由来の腰痛に対しては上記のような変化が起こりやすいが、その他の場合については変化が起こりにくいと考えられる。
【まとめ】股関節外転筋群による股関節のタイトネスを緩和することは、腰部の痛みの軽減につながることが示唆された。今回は若年者に対しての一回の徒手操作での反応であったが、今後、操作や適応などの再考を重ねながら更なる検討していきたいと考える。
著者関連情報
© 2006 日本理学療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top