理学療法学Supplement
Vol.33 Suppl. No.2 (第41回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 157
会議情報

骨・関節系理学療法
大腿骨頸部骨折術後患者の歩行機能と入院期間の検討
*森 紀康足立 崇田中 由布子中村 優希赤木 咲恵田中 宏明今村 康宏高木 聖鈴木 重行
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【はじめに】第40回本学術大会において大腿骨頸部骨折術後患者の転帰について報告した。年齢や認知症、社会的背景が転帰に影響を及ぼす事が示唆されたが、入院期間においては自宅退院患者と施設退院患者には有意差は認められなかった。しかし、入院期間を考慮する中で退院時期の目安となる指標を設定し、適切にアプローチしていく事も重要な課題と考えた。そこで今回我々は歩行能力だけに着目し、術後から歩行における機能的ゴール到達に要する期間と入院期間との関係について検討したので若干の考察を加え報告する。
【対象】大腿骨頸部骨折術後の患者で当院にて理学療法を施行し、平成16年10月から平成17年10月までの間に退院した23例を対象とした。内訳は内側骨折5例、外側骨折18例、男性4例、女性19例、平均年齢82±10.6歳であった。【方法】院内の倫理委員会の承諾を得た上で、大腿骨頸部骨折術後患者の歩行機能を術後から一週間間隔で経過を記録した。到達項目として平行棒内立位・平行棒内歩行・杖歩行とし、それぞれ介助・見守り・自立の3段階計9段階で評価した。歩行機能の段階に変化が見られない一定レベルとなった最初の時点を機能的ゴール到達時期とした。受傷前歩行能力に改善した群(以下改善群)14例と改善しなかった群(以下非改善群)9例の2群に分け、1)術後から機能的ゴール到達に要する期間、2)入院期間、3)平均年齢を比較・検討した。2群間の比較では5%未満を有意な差とした。
【結果】1)術後から機能的ゴール到達に要する期間では改善群で45.0±26.6日、非改善群で50.6±15.2日となり有意差は認められなかった。2)入院期間では改善群で90.1±28.5日、非改善群で99.0±30.8日となり有意差は認められなかった。3)平均年齢では改善群78.1±11.9歳、非改善群87.4±3.8歳となり非改善群の方が有意に高かった。
【考察とまとめ】今回の調査から年齢が受傷前歩行能力の再獲得に影響を与える一要因となる事が考えられた。しかし、2群間で術後から機能的ゴール到達に要する期間に有意な差は認められなかった事から、大腿骨頸部骨折術後患者の機能的ゴールは術後7週程度でおおむね達成されることが示唆された。入院期間に関しても2群とも術後3ヶ月程度で有意差は認められず、歩行機能がゴールに至ったとしてもその後のADL訓練や退院前訪問指導に伴う環境の見直し、家族の受け入れ準備、在宅サービスの調整などといった事に費やされていると考えられた。諸家の報告でも入院期間には、個々の患者が持つ能力以外に、社会的要因や家族の受け入れ問題などの影響も報告されているが、今回の調査結果を指標としてインフォームドコンセントやスムーズな自宅退院、施設転院につなげていきたい。
著者関連情報
© 2006 日本理学療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top