理学療法学Supplement
Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 133
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骨・関節系理学療法
大腿骨近位部骨折患者の退院時トイレ動作自立度とバランス能力および認知機能障害との関係
袴田 暢中山 裕子細野 敦子山岸 豪
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抄録
【はじめに】大腿骨近位部骨折患者において,トイレ動作能力が家庭復帰を左右することがある.大腿骨近位部骨折患者では骨折に伴う機能障害に加え,認知機能障害が高率に合併し,トイレ動作を困難にしている.今回,我々は退院時トイレ動作自立度とバランス能力および認知機能障害との関係について調査したので報告する.
【対象および方法】対象は2007年8月~11月に大腿骨近位部骨折で当院にて理学療法を施行した22例(男性5例,女性17例,年齢84.5±7.6歳)とした.退院時トイレ動作を動作全体および戸の開閉,トイレ内移動,下衣上下,後始末,手洗いに細分化し,項目毎に自立群・介助群に分類した.検討は退院時Berg Balance Scale総得点(以下BBS),動的バランス(起立,着座,移乗,閉脚立位,リーチ,物を拾う,振り向き,回転,ステップ,タンデム,片脚立位),静的バランス(座位保持,立位保持,閉眼立位),退院時N式老年者用精神状態評価尺度(以下NMスケール)に対し行った.統計学的検討はMann-Whitney検定を用い,有意水準を5%未満とした.また,トイレ動作自立のためのBBS,NMスケールのカットオフ値をROC曲線より決定し,2因子間の関連をpearsonの積率相関係数にて検討した.
【結果】全体・戸の開閉・トイレ内移動の中央値は自立群BBS44点(動的32点,静的12点),NMスケール37点,介助群BBS15点(動的14点,静的10点),NMスケール19点で,すべて有意差を認めた.下衣上下の中央値は自立群BBS43点(動的31点,静的12点),NMスケール37点,介助群BBS15点(動的14点,静的10点)NMスケール19点で,静的バランス以外に有意差を認めた.後始末・手洗いの中央値は自立群BBS41点(動的29点,静的12.点),NMスケール31点,介助群BBS14点(動的6点,静的9点)NMスケール17点で,すべて有意差を認めた.トイレ動作自立のカットオフ値はBBS36.5点(感度72.7%,特異度81.8%),NMスケール27点(感度81.8%,特異度81.8%)で2因子間に有意な正相関を認めた(r=0.52,p<0.05).
【考察】退院時に戸の開閉,トイレ内移動が自立した群で動作全体も自立しており,これらの項目が退院時トイレ動作自立に大きく関与していると考えられた.下衣上下は移動ほど高いバランス能力が必要とされないことが伺われた.NMスケールは,すべての項目で有意差があり,どの項目も一定以上の認知機能が必要であった.カットオフ値はBBS36.5点,NMスケール27点で,トイレ動作自立の一指標となることが示唆された.また2因子間に中程度の線形の相関を認め,トイレ動作自立度をそれぞれが,独立して説明可能か否か,さらなる検討が必要と思われた.

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© 2008 日本理学療法士協会
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