理学療法学Supplement
Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
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一般演題 ポスター
脳卒中患者に対する365日リハビリテーションの効果検証
─日曜・祝祭日の理学療法提供がもたらす効果─
濱中 康治志村 圭太上内 哲男田中 尚喜室生 祥
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p. Bb0759

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抄録
【はじめに、目的】 当院では2004年の回復期リハ病棟開設以来、これまで作業療法・言語療法は土曜日曜祝祭日を、理学療法は日曜祝祭日を休日とする体制でリハを提供してきたが、2010年の診療報酬改定を受け、2011年4月より理学療法のみ祝祭日を含む週7日間実施し、365日体制でのリハサービスの提供を開始した。365日リハを実施する効果として在院日数の短縮やADL改善率が高くなるという報告が散見されるが、それらの報告は脳卒中患者のみではなく整形外科疾患や廃用症候群など、全ての症例を対象とした報告や、また全国平均との比較で効果を検討しているものが多く、脳卒中患者に対する365日リハの効果が真に明らかになったとは言えない。また、当院のように人員不足などの原因により、休日は理学療法のみを実施して診療報酬の休日リハ加算を算定している施設もあるが、その効果は明らかになっていないのが現状である。そこで今回は、365日リハ実施前後で脳卒中患者を群分けして比較することで、その効果を検証することとした。【方法】 対象は2010年4月1日から2011年9月までに当院リハ科回復期リハ病棟に入院し退院した患者184名の中で、初発のテント上病変の脳出血および脳梗塞患者のみに限定し、再発患者やテント下病変、くも膜下出血、整形外科疾患、廃用症候群は除外し、また1ヶ月以内に退院した者、死亡・急性増悪・全身状態の悪化などによりリハの継続が困難になった者、2011年4月1日以前の入院し4月1日以降も入院を継続し休日ありのリハと365日リハの両方を経験した者を除外した82名を対象とした。2010年4月1日から2011年3月までの入院で休日ありのリハのみを経験した患者を休日群(60名)、2011年4月1日以降に入院した患者を365日群(22名)として対象を分類した。対象者の年齢、性別、診断名、発症から回復期リハ病棟に入院するまでの期間、回復期在院日数、入院1日あたりのリハ実施単位数、入院時および退院時の運動FIM得点、認知FIM得点、FIM合計点と、退院時のFIM得点から入院時のFIM得点を引いたFIM利得およびFIM利得を回復期在院日数で除したFIM在院日数効率、ソーシャルワーカー(以下MSW)の介入の有無、退院先を電子カルテ記録より抽出した。統計学的解析にはIBM SPSS Statistics 19.0にてMann-Whitney U検定とカイ二乗検定を用いて両群間を比較し、有意水準は危険率5%とした。【倫理的配慮、説明と同意】 すべてのデーターは電子カルテより後方視的に抽出しており有害事象は発生しなかった。また、個人情報の流出防止に留意した。【結果】 休日群と365日群の比較(休日群/365日群)では、入院1日あたりのリハ実施単位数(4.0±1.1単位/4.9±0.7単位)に有意な増加がみられた。性別(男34名・女26名/男13名・女9名)、年齢(69.1±15.2歳/70.8±12.2歳)、発症から回復期リハ病棟に入院するまでの期間(32.3±14.8日/29.1±11.3日)、回復期リハ病棟在院日数(100.1±44.1日/105.6±43.3日)、入院時の運動FIM得点(55.6±22.5/61.2±23.0)、認知FIM得点(27.6±7.7/26.7±8.2)、FIM合計点(83.2±28.2/87.9±29.1)、退院時の運動FIM得点(70.1±21.6/72.3±22.3)、認知FIM得点(29.7±7.0/28.3±8.0)、FIM合計点(99.8±27.2/100.5±29.3)、FIM利得(16.6±17.5/12.6±10.8)、FIM在院日数効率(0.17±0.17/0.12±0.10)、MSW介入率(40.0%/44.5%)、自宅退院率(80.0%/86.4%)については有意差がみられなかった。【考察】 当院における365日リハの効果としては、1日あたりのリハ実施単位数はわずかに増加したものの、これまでの報告で多くみられたFIM得点の有意な向上や在院日数の短縮はみられなかった。当院は365日リハを理学療法のみで実施して休日リハ加算のみを算定している状況であり、リハ充実加算を算定するには至っておらず、1日あたりのリハ実施単位数も十分とは言えない。また、当院では病棟専従のMSWが配置されておらず、MSW介入率も50%を下回る現状であり、スムーズな退院調整ができていないことも理由の一つと考えられる。脳卒中患者に対して、FIM得点をより効率的に向上させ早期の退院を可能にするためには、理学療法のみの休日リハではなく、作業療法や言語聴覚療法の休日リハやMSWの病棟専従配置を含めた総合的なリハの充実を図る必要があると考えられる。【理学療法学研究としての意義】 今回、理学療法単独の365日リハには効果がみられなかった。脳卒中患者に対する効率的なリハサービスの提供には理学療法単独の実施ではなく、作業療法や言語聴覚療法、医師、MSWなどとのチームアプローチを充実させる必要性が示唆され、今後の回復期リハ病棟の運営指針として重要な結果となる。
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© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
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