理学療法学Supplement
Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
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一般演題 ポスター
膝関節伸展機構の癒着予防を考慮した人工膝関節置換術後の運動療法の効果
─Cruciate-Retaining型における従来の運動療法との比較検討─
小野 志操吉塚 隼人細見 ゆい為沢 一弘林 晃生一志 有香福島 友里山下 文治
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p. Cb0715

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抄録
【はじめに、目的】 人工膝関節置換術(以下、TKA)は除痛や歩行能の改善の面からは満足できる域に達しているが、 患者の生活の質(以下、QOLと略す)の向上において、より大きい屈曲角度が望まれる。TKA後の膝関節可動域(以下、ROM)に影響する因子のひとつに術後運動療法が挙げられる。しかし、その方法が確立されているとは言い難い。我々は軟部組織の修復過程と膝関節伸展機構の術後癒着予防を考慮した自動運動主体の運動療法を展開し良好な成績を得た。従来までの持続的他動運動主体の運動療法と術後8週間の関節可動域を比較検討した。【方法】 2010年3月~2011年7月に同一術者によってPrimary TKA(Smith&Nephew Orthopaedics社製GenesisIICR)が施行された変形性膝関節症症例 37膝(女性17膝、男性10膝)を対象とした。術式はmid-vastus approachであった。手術時平均年齢は73.5歳であった。対象を自動運動主体の運動療法を行う群(A群)19膝と持続的他動運動主体の運動療法を行う群(C群)18膝の2 群に無作為に割り付けた。測定項目は膝関節の他動屈曲角度(以下、屈曲角)、膝関節の他動伸展角度(以下、伸展角)とKellgren-Lawrence分類(以下、K-L分類)、Joint line(以下、JL)、Posterior condylar offset(以下、PCO)、コンポーネント設置角度(α角、β角、γ角、δ角)、術前後のFTAとした。屈曲角と伸展角の測定は、他動的に疼痛自制内での最大屈曲位と最大伸展位をゴニオメーターで1 回測定し、5 度単位で記録した。ROMの測定は術前、術後3日目、術後1週目から8週目までを1週毎に行った。症例の各測定項目の群間ならびに群内の統計解析にはStatcel 3(Microsoft Excel 2007 Addin soft)を用いた。屈曲角と伸展角の測定値は順位尺度として群間の代表値の差の有無をMann-Whitney U Test を用いて検定した。また群内の代表値の差の有無をWilcoxon signed rank testとTukey-Kramer法を用いて、全ての測定日の組み合わせで多重比較検定を行った。いずれの検定も有意水準を5%未満とした。なお両群ともに術翌日よりCPMを開始し、自動屈曲角度が120°を超えるまで1日1回15~30分間行った。【倫理的配慮、説明と同意】 本研究は当院倫理委員会の承認を得て行った。【結果】 術前平均伸展角はA群13.3度、C群8.6度であり、術前平均屈曲角はA群129.4度、C群135.3度であった。群間における年齢、術前可動域、Kellgren-Lawrence分類、Joint line、Posterior condylar offset、コンポーネント設置角度、術前後のFTAに有意差はなかった。術後に両群とも有意なROM改善がみられた。術後全期間を通して2群間の伸展角に有意差はみられなかった。最終平均伸展角はA群1.1度、C群0.9度であった(p=0.68)。術後2週以降の屈曲角はC群と比較してA群で有意に拡大した。最終平均屈曲角はA群129.7度、C群平均120.3度であった(p<0.01)。【考察】 TKA後のROM獲得は手術成功の重要な指標であり、患者のQOLを考えると大きな屈曲角が望まれる。Merrillらは動作とTKA後に必要なROMについて、疼痛のない安定した歩行には128度から132度が必要とし、安定した階段昇降には133度から150度が必要であるとしている。石井らはTKA術後のROMを左右する因子として、手術関連因子にはROM良好例とROM不良例で有意差はないと報告し、術後因子が関与するとしている。村津らはTKA再置換術における軟部組織の操作として、膝蓋上嚢と内外谷の癒着剥離、炎症性滑膜の切除、rectus snipを行うとしている。龍らは膝関節伸展機構の伸縮性の低下がTKA術後の屈曲角に影響を及ぼすとしている。これらのことからTKA術後の膝関節伸展機構に関与する軟部組織の癒着と瘢痕化を予防することは、ROM拡大に繋がると考えた。本研究の結果より、A群とC群ともに有意なROM改善効果が認められた。伸展角に関しては両群間に有意差が認められなかった。しかしA群はC群と比較して有意に屈曲角が大きかったこと、両群間の術前因子と手術関連因子に有意差がなかったこと、術前と同等のROMが獲得できたことから、自動運動主体の運動療法は屈曲角改善により効果的な方法であることが示唆された。【理学療法学研究としての意義】 本研究はTKA術後運動療法の確立に寄与するものと考える。
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© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
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