理学療法学Supplement
Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
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一般演題 ポスター
TKA後のバランスおよび歩行能力に影響を与える機能的因子の検討
小林 巧山中 正紀神成 透堀内 秀人松井 直人角瀬 邦晃野陳 佳織大川 麻衣子
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キーワード: TKA, 機能評価, 予測因子
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p. Cb0720

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抄録
【はじめに、目的】 近年、転倒予防の観点より臨床現場において様々なバランス評価が行なわれている。バランス検査には片脚立位などの静的バランス検査、Functional Reach Test(FRT)やTimed Up and Go test(TUG)などの動的バランス検査、Berg Balance Scaleなどの包括的バランス検査などがある。人工膝関節全置換術(TKA)は重篤な変形性膝関節症患者に対して疼痛除去と機能改善を目的として施行される。我々は、第46回日本理学療法学術大会でTKA後の歩行能力とバランス能力の関連性について検討し、歩行能力は動的バランス能力と関連性が高いことを報告した。これまで、TKA後の疼痛、関節可動域(ROM)および筋力などの機能的因子に関する報告は散見されるが、これらの機能的因子がTKA後の動的バランスおよび歩行能力にどのように影響するかは不明な点が多い。本研究の目的は、TKA後の動的バランスおよび歩行能力と機能的因子との関連性について検討することである。【方法】 対象は聴覚障害ならびに平衡機能障害の既往が無く、TKAを施行した17名(女性15名、男性2名、平均年齢70.8±8.8歳、身長151.2±6.9cm、体重58.3±3.6kg)とした。測定は、TKA後4週で実施し、バランス能力の指標としてFRTおよびTUG、歩行能力の指標として歩行速度と重複歩距離、機能的因子として疼痛、ROMおよび筋力について測定した。(1)FRT:上肢を90°屈曲した肢位から前方・水平に上肢を出来るだけ遠くまで伸ばし、開始肢位から最大前方移動距離を計測した。(2)TUG:椅座位を開始肢位とし、検者の合図により立ち上がり3m先の目印で方向転換し再び着席するまでの時間を計測した。(3)10m歩行試験:10mの歩行路を出来るだけ速く歩行してもらい所要時間ならびに歩数を測定し、歩行速度および重複歩距離を算出した。(4)疼痛:立ち上がりおよび歩行時の膝の痛みについてvisual analog scaleを用いて数値化した。(5)ROM:膝屈曲および伸展のROMについてゴニオメーターを用いて測定した。(6)筋力:Biodex System 3を用いて、角速度60°/secにて膝屈曲および伸展の等速性peak torque値を算出し、各被験者の体重で除した値を使用した。統計学的分析として、バランスおよび歩行指標と機能的因子の関連性の検討としてSpearmanの順位相関係数を実施した。また、測定した全ての機能的因子からバランスおよび歩行指標の予測のために重回帰分析を行なった。有意水準は5%とした。【倫理的配慮、説明と同意】 対象者には検査実施前に研究についての十分な説明を行い、研究参加の同意ならびに結果の使用について了承を得た。【結果】 バランス指標と機能的因子との関連性について、FRTは非術側の膝伸展および屈曲筋力(各r=0.59、0.56)と、TUGは術側の膝伸展および屈曲筋力(各r=-0.56、-0.67)ならびに非術側の膝伸展および屈曲筋力(各r=-0.59、-0.61)と有意な相関を認めた。また、歩行指標と機能的因子の関連性について、歩行速度は術側の膝伸展および屈曲筋力(各r=0.54、0.61)ならびに非術側の膝伸展および屈曲筋力(各r=0.60、0.68)と、重複歩距離は術側の膝伸展筋力および非術側の膝屈曲筋力(各r=0.55、0.57)と有意な相関を認めた。ステップワイズ法による重回帰分析において、TUGには術側の膝屈曲筋力が、歩行速度および重複歩距離には非術側の膝屈曲筋力が投入され説明効率の高い単回帰式が得られた。FRTは全ての因子が除外され有意な回帰式を得なかった。【考察】 本研究結果から、TKA後の動的バランスおよび歩行能力は疼痛やROMよりも膝伸展および屈曲筋力との関連性が高く、また、バランスや歩行指標の予測として膝の屈曲筋力が有用である可能性を示唆した。以上より、TKA後の機能的因子として疼痛やROMよりも筋力が動的バランスおよび歩行能力に影響を与え、特に屈曲筋力の重要性が示唆された。【理学療法学研究としての意義】 術後の活動レベルの向上や転倒予防のためにバランスおよび歩行評価を実施することは重要である。しかし、バランスおよび歩行能力はどのような機能的因子と関連するかについて検討した報告は少ない。TKA後のバランスおよび歩行能力を予測する機能的因子を明らかにすることはより効果的な理学療法を実施するための一助となる可能性がある。
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© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
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