理学療法学Supplement
Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
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一般演題 ポスター
急性期病院から施設へ退院する患者の機能的変化
─大腿骨近位部骨折患者を通じて─
藤末 健一福田 文雄井上 無我高田 久美原口 昌広澤山 飛鳥泉 厚作三浦 寛子松岡 太志
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キーワード: 大腿骨近位部骨折, FIM, 施設
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p. Cb0746

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抄録
【はじめに】 当院は救急病院で急性期のリハビリテーションを担っている。今回、施設から来られた大腿骨近位部骨折患者に対して当院にて手術を施行し、リハビリテーションを行い、元の施設に退院した際、運動機能面・認知機能面が、どのような経過をたどっていくのか機能的自立度評価表(以下FIM)を用いて研究を行った。【対象】 H22年10月よりH23年6月までの期間で当院に入院し手術を施行した患者20名(男性3名、女性17名、平均年齢82.1±8.7歳)を対象とした。疾患別内訳として頚部骨折8名、転子部骨折12名であった。また術式は頚部骨折が人工骨頭4名、ハンソンピン3名、CHS1名、転子部骨折はすべてガンマーネイルであった。施設別内訳としてグループホーム8名、有料老人ホーム6名、特別養護老人ホーム4名、ケアハウス2名であった。【方法】 FIMを用い受傷前(施設入所中)、術後2週、1ヶ月、2ヶ月の4回、当院リハビリテーション科スタッフまたは施設職員に聞き取りにて調査を行った。当院では大腿骨近位部骨折の患者に対してクリニカルパスを使用しており、約2週間の入院の後、施設に退院となることからFIMで評価を行う時期を上記の通り設定した。また認知機能面の評価として改訂長谷川式簡易知能評価スケール(以下HDS-R)も取り入れ、当院でのリハビリテーション開始時に実施した。【説明と同意】 全症例において本研究の目的を説明し、本人または家族の方に了承を得た上で実施した。【結果】 FIMにおいては受傷前の総点数の平均値は65.6±23.4点であった。当院を退院され施設に戻られた1ヶ月後は51.6±25.9点、2ヵ月後では51.2±27.8点と受傷前レベルを基準として1ヶ月後では21.4%の低下、また2ヶ月後では22%の低下が認められた。運動項目では受傷前49.5±19.8点、1ヶ月後37.0±20.5点で25.3%の低下、2ヵ月後37.1±21.9点で25.1%の低下が認められた。また認知項目では受傷前16.1±5.4点、1ヵ月後14.6±6.7点で9.4%の低下、2ヵ月後14.1±7.1点で12.5%の低下が認められた。開始時のHDS-Rの平均値は6.3±5.2点であった。【考察】 今回の研究においては、受傷前レベルを基準として1ヶ月、2ヶ月後ともにFIMの総点数が低下する傾向が認められた。低下した要因として、急性期病院においては術後早期よりリハビリテーションが開始され機能回復が望める。一方、施設に退院した後では、常勤のセラピストがおらず継続した治療訓練が行えていないことが多い。また施設に入所している患者は介護保険サービスをリハビリテーション以外で最大限利用している場合が多く、機能訓練を受けられる十分な環境とはいえない状況などが挙げられる。このような要因のため、リハビリテーションを継続することができず機能の低下をもたらしたのではないかと考える。また受傷前の段階で認知症を有している患者も多く積極的なリハビリテーションが進められないこと、運動機能面においても受傷前レベルのFIM点数が元々低下しており運動機能の改善が見られなかったことも要因として考えられる。【まとめ】 今回の研究においては施設に退院した後、機能面の低下が起きていることが明らかとなった。今後は急性期病院より継続してリハビリテーションが受けられるような環境作りが重要と思われる。
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© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
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