理学療法学Supplement
Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
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一般演題 ポスター
主介護者の介護負担感の関連因子に関する検討
講内 源太秋元 順子平林 弦大真塩 紀人高島 恵
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p. Eb0594

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抄録
【はじめに、目的】 日本は高齢社会に突入し、平成23年度版高齢社会白書によると、我が国の高齢化率は23%を超え、平均寿命は、男性79.59歳、女性86.44歳まで伸びたとされている。これは、医療技術の進歩や2000年度より開始された介護保険制度等によるサービスの充実が図られたことが一因であると考える。現在、平均在院日数が短縮されていく中で、介護保険制度における要介護者も増加傾向にある。平成23年6月末の時点で、居宅サービス受給者数は310万人を超えるとされており、居宅サービスの浸透が図られている。一方で、家庭内における高齢者虐待等の事例がきかれることも事実である。その要因として、介護者の介護疲れや被介護者の認知症の程度、身体的自立度の低さ等が関連しているとされている。居宅サービス受給者の生活において、主介護者の役割は大きいと考えられる。そのことから、サービス受給者のみに着目したサービス提供では、居宅サービスにおける包括的支援は行えないと考える。今回、主介護者の介護負担感に関連する要因を調査し、先行文献との比較や今後のサービス介入の検討を行っていくことを目的とした。【方法】 当訪問看護ステーションにて、介護保険サービスを利用されている利用者様とそのご家族のうち、本研究に同意の得られた21名を対象にアンケート調査を実施した。期間は9月下旬~10月上旬にかけて行い、アンケート配布後、後日回収する手法で行った。主介護者で視力等に問題があり、実施が困難な方に関しては、当訪問スタッフが聞き取り調査を行った。調査の内容はZarit介護負担尺度日本語版短縮版(以下、J-Zarit8と省略)、主介護者の属性(性別、年齢)、介護状況(介護時間、介護経過年数、協力者の有無、セルフケア項目、サービス利用数)、サービス満足度を問うものとした。その他、Barthel index(以下、BIと省略)、訪問看護指示書より、「障害者の日常生活自立度」、「認知症高齢者の日常生活自立度判定基準」を用いた。統計方法として、J-Zarit8において、「多少の負担だと思う」8項目に全得点がついた場合の8点未満を介護負担感低値群(13名)、8点以上を高値群(8名)とし、2群に分類した。統計処理は,SPSS ver.16.0を用いて、2群間におけるそれぞれの項目の関連性はχ二乗検定を用いた。統計学的有意差判定基準は5%未満とした。【説明と同意】 説明書の作成を行い、「研究の目的」「自由意志の尊重」「個人情報、人権の保護」「成果の公表」「問い合わせ先」を明記した。以上のことに同意をいただいた方には署名、捺印をいただき、研究にご協力頂いた。【結果】 介護負担感について、「障害者の日常生活自立度」のみ、関連性が認められ、有意確率は0.048(p=0.05)であった。高値群については、特にランクA(準寝たきり)とされる群との関連性が有意に見られた。その他の項目における関連性は認められなかった。【考察】 今回の調査結果より、介護負担高値群は、介護状況や認知症の有無等に関わらず、寝たきり度のランクAである「屋内での生活はおおむね自立しているが、介助なしでは外出できない」と判定される場合に多いとなった。ランクAである場合、介助は必要ではないが、種々の活動に監視が必要な状況や閉鎖的空間にとどまる状況が続き、受給者と主介護者ともに社会への参加が制限されていると考えられる。心理的な面では、孤立した中でのケアに加え、不安やストレスの増大に起因すると推測され、育児ノイローゼに類似するとされている。その様な場合、漠然とした不安や苛立ちを抱えていると報告されている。また、現在の日本の社会的背景に関連して、核家族化の進行にともない、「地域のつながりは必要」と思っている高齢者は多いが、「地域のつながりを感じる」高齢者の割合は低いとされている。斉藤は、核家族化の進行は対人関係障害や地域の崩壊につながると述べている。以上のことから、今回、ランクA群に属するサービス受給者とその主介護者は、核家族化の進む日本において、地域でのつながりを実感する機会が極端に少なく、ご家庭内で種々の不安や苛立ちを抱えたまま生活を送っている可能性が高く、介護負担感高値群と関連性が高いことが示唆された。【理学療法学研究としての意義】 高齢社会が進む日本において、今後さらに、理学療法士が地域へ介入する機会が増加すると考える。その際に、理学療法士の役割として、対象者へのリハビリのみではなく、主介護者の介護負担にも目を向け、地域性も含めた視点でのサービス提供の実施が必要であると考える。そのためには、他職種との連携を図り、地域資源の活用も重要になると考える。
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© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
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