理学療法学Supplement
Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
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当院のリスクマネジメントにおける理学療法士の関わり
田中 秀明井舟 正秀石渡 利浩平前 政武川北 慎一郎荒川 幸弘
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p. Gb0784

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抄録
【はじめに】 当院では患者に安全で最良の医療サービスを提供する事を目的に多職種が係わった委員会があり,様々な活動を行っている.患者の高齢・重症化で理学療法士は治療場面のみでなく,快適な入院生活を支援する上で専門職の視点から院内全体に安全を配慮する必要性がある.しかし,日常業務で多忙であり安全啓蒙のための教育に多くの時間を割く事が困難な状況である.今回,当院医療安全対策委員会の下部組織であるリスクマネジメント部会(以下部会)から,理学療法士として転倒・転落に関しての様々な活動や今年度のアクシデントレポート(以下レポート)の分析結果をもとに若干の考察を加えここに報告する.【方法】 部会の紹介および,レポート分析について述べる.部会では転倒・転落部門,患者誤認部門,与薬部門の3つの分科会に分け月1回のグループワークを行っている.理学療法士は関連の強い転倒・転落部門に所属している.対策1.院内でのアクシデント防止目的で 危険予知トレーニング(以下KYT)を取り入れている.KYTとはKは危険,Yは予知,Tはトレーニングを意味する.危険予知トレーニングとはある事象からその作業にひそむ危険を短時間で話し合い,対策を決め,行動目標を立て,一人ひとりが実践する活動を通して職員個々の感受性・集中力・意欲の3点を向上する目的で実施している.対策2.院内の環境(段差,障害物やベッド環境など)設定が適切になされているか巡視を定期的に行っている.巡視の結果,環境やシステムで改善の必要性があれば医療安全対策委員会に対策案を報告し改善してもらう.上記活動に参加をする事で,専門職としての視点を活かし講義やディスカッションに参加をする事で貢献をしている.対策3.状況把握の為,2011年度上半期の転倒・転落レポートを分析した.内容はレポート件数,リスクレベル0から5,転倒場所ベッド周囲・Pトイレ移動時・廊下等・リハビリテーション(以下リハ)中・浴室・トイレ,移乗・歩行レベル,認知症の有無について分析した.また,各研修等に関しては自由記載でのアンケートを実施した.【説明と同意】 対象者に対し本研究の内容を説明し同意を得ている.【結果】 レポート件数182件.リスクレベルは0レベル5(3%),1レベル109(60%),2レベル48(26%),3レベル20(11%),4,5レベルは0件.転倒場所はベッド周囲68(37.5%),Pトイレ移動時71(39%),廊下等18(10%),リハ中6(3%),トイレ17(9.5%),浴室2(1%).移乗レベル自立・寝たきり94(52%),監視・介助88(48%).歩行レベル自立・寝たきり103(57%),監視・介助79(43%).認知症63(35%).尚,研修でのアンケートの自由記載で「多職種からの色々な意見が聞けて勉強になった」,「実際の現場でも常に考えるようにしていきたい」,「シミュレーション能力を更に高める必要がある」等の前向きな回答を多数頂いた.環境整備に関しては歩行練習場所を混雑しないように変更する事や道間違いの無いように案内図の工夫や看板を設置した.【考察】 転倒時の移動自立度は監視・介助レベルの割合が約半数を占めており,転倒場所は病室,特にベッド周囲の割合が多い.先行文献でも同様の報告がされているが,移乗能力やトイレ移動・Pトイレ移動時など患者が主に生活を行なう病棟でのリスク管理が重要である為,リハの知識を活かし院内での転倒・転落予防に対し積極的に啓蒙活動を行なう為,研修を通して多職種でKYT等を行う事で様々な視点からの意見を聴取し,更にシミュレーション能力を高める事が出来たと考える.研修でのアンケートからも常に危険の意識を持つ事の重要性を認識出来たと考える.また,院内の環境整備に関しても対応が出来た.理学療法士が各委員会や部会に所属し様々な提言や助言を行う事で専門職の力を発揮出来たと考える.また,疑問に感じた事や対策を実施したい場合に理学療法士が組織に所属することにより専門的な視点から意見を述べ,迅速な対策が可能であった.今後も理学療法士の専門性を生かし院内業務に取り組んでいきたいと考える.【理学療法学研究としての意義】 業務遂行上,リスクマネジメントは重要である.安全に対する啓蒙活動により,理学療法士の専門性を強調する事が出来た.また,院内で様々な環境場面を視認し,事故防止や事故軽減する因子を多職種で共有する事が出来た.
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© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
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