理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: E-P-28
会議情報

ポスター発表
水害時におけるリハビリテーション介入を考える
地域リハビリテーション広域支援センター活動を通じて
林 寿恵下村 貴文小堀 千穂村上 潤一
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【はじめに、目的】当院は、平成24年度から阿蘇地域リハビリテーション広域支援センター(以下、地域リハ支援センター)の委託を受け、活動を行っている。そんな中、当院が所在する、熊本県阿蘇市は平成24年7月11日深夜から12日未明の短時間に「これまでに経験したことのないような大雨」である「九州北部豪雨災害」が発生した。この大雨により、死者27名、行方不明者5名、住家損壊、土砂災害、浸水害等が発生し、多くの方が避難所での生活を余儀なくされた。そこで、当院は地域リハ支援センターの活動として、避難所で生活不活発病に対する体操指導や阿蘇市災害対策班へ避難所の環境設定についての助言などをおこなった。本報告では、阿蘇地域における水害時のリハビリテーション支援活動についての活動報告とともに、災害時のリハビリテーション介入について考察する。【方法】7月17日に阿蘇市役所高齢者支援課に直接連絡し、避難所での体操指導、生活不活発病に対する運動支援を申し出た。長期化が予測される避難所5カ所にて活動を開始した。活動期間は平成24年7月16日~8月31日の約7週間である。介入スタッフは演者1名、または2名(共に地域リハ支援センタースタッフ)にて行った。支援対象者は日中避難所で過ごしている高齢者である。特に介護保険サービスを受けていない方に対して注意を払った。活動内容は避難所を巡回し、避難所の傾向(年齢層、時間帯による人数、身体機能レベル、ストレス度、廃用性リスクなど)を直接避難者に聴取、問診し、集団体操の実施、個別体操指導、認知機能対応を行った。また避難所での生活環境設定などについて、阿蘇市災害対策班担当者、避難されている方の担当ケアマネージャーへ報告、相談を行った。毎日の活動報告は、阿蘇市役所高齢者支援課の担当者へFAXにて行った。【倫理的配慮、説明と同意】支援活動状況、学会での発表については阿蘇市役所高齢者支援課に口頭にて説明を行い、同意を得た。また、倫理的配慮に十分注意し、個人のプライバシー、個人が特定できる内容は記載していない。【結果】当院も床上50cm浸水など1階部分(外来、検査、放射線科、調理場、事務所、リハビリ室)が大きく被害をうけた。そのため、7月12日から16日まで院内復旧にあてた。活動当初は避難所5カ所であったが、復旧状況にともない、避難者の減少、避難所も3カ所へと縮小した。活動も介入頻度を週に3回に縮小し、全避難所閉鎖になる8月31日まで介入を継続した。対応人数はのべ172名であった。体操指導などの運動介入だけでなく、避難所の環境整備に対する助言や補装具(杖や歩行器)支援を行い、高齢者が避難所での移動や起居動作が楽になったとの声をいただいた。また、身体を動かすきっかけができ、「身体が軽くなった」など運動の効果を体感していただいた。今回、リハビリ専門職種の方々がボランティアを申し出ていただいたが、当地域リハ支援センターではそれを統括するだけの余裕と柔軟さを持ち合わせておらず、当院スタッフのみの活動介入であった。予算もなく、全くのボランティアであった。さらに、院内通常業務と並行していたため、人員や時間にも余裕がない活動となった。【考察】平成23年3月の東日本大震災より災害時のリハビリテーション介入のもつ効果など議論されることが多くなってきている。今回、当院の所在する地域は豪雨による水害被害をうけた。5カ所の避難所が設置され、仮設住宅ができる約7週間の間に避難所で生活を余儀なくされた住民の方々がいた。水害による被災状況は浸水、土砂災害であり、地域の一部が被災するため、同じ地域でも被害の格差がみられた。医療・介護サービス関連機関も同様であった。そのような中、民間医療機関として避難所でのリハビリテーション支援活動をすることは難しいと考え、県からの委託事業である、地域リハ支援センターの活動として災害時リハビリテーション介入を実施した。被災時まもなくから介護保険サービスは稼動しており、支援対象者も介護保険サービス非該当者を中心に考慮することができた。日常業務の中で、行政とのコミュニケーションがとれていたことにより災害早期からの介入ができたと感じる。しかし、この災害を期に、市行政と災害時におけるリハビリテーション対応について相談し、柔軟な対応ができるように取り組む必要があると感じた。【理学療法学研究としての意義】演者は東日本大震災における災害ボランティアの経験があった。今回の水害を経験して、更に災害の大きさの有無によらず、早期からリハビリテーション介入の検討が必要であると感じた。その対応には地域で柔軟に動ける中間的組織が必要である。地域リハ支援センターの活動として、行政または理学療法士協会(県士会)とも連携を行い、今後の災害時リハビリテーション支援活動システムを構築する必要があると考える。
著者関連情報
© 2013 日本理学療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top