理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: C-S-04
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セレクション口述発表
膝関節内反モーメントと内側関節圧迫力との関係
小栢 進也内藤 尚沖田 祐介井上 純爾岩田 晃樋口 由美淵岡 聡田中 正夫
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抄録
【はじめに、目的】 内側型変形性膝関節症は脛骨大腿関節内側部に過剰な圧迫力が加わることで進行が助長されると考えられている。膝関節外部内反モーメント(内反モーメント)の増加が脛骨大腿関節内側部の圧迫力(内側関節圧迫力)増加になると考えられてきたため、内反モーメントを測定した先行研究が多い。しかし、関節圧迫力は筋が収縮することでも生じるため、内反モーメントだけでは関節圧迫力を十分に説明できないことが近年報告されている。本研究では筋骨格シミュレーション解析を用いて高齢者の歩行データから関節圧迫力を求め、内反モーメントと内側関節圧迫力の関係を検討することを目的とした。【方法】 対象は歩行が自立している地域在住高齢者120名(年齢74.0±6.3歳、男性31名、女性89名)とした。被験者の体表17点にマーカーを張り付け、床反力計上を歩行した際の関節角度、セグメントのモーメントを求めた。本研究で用いた筋骨格シミュレーションモデルは関節角度に応じて変化する筋長およびモーメントアームから筋出力を算出するものであり、4セグメント42筋の筋骨格で構成されている。セグメントに付着する筋により発生するモーメントが計測されたモーメントと等しくなるとし、筋活動量の三乗和が最小になるよう各筋の筋活動を求めた。次に内反モーメント、筋活動、床反力から内側関節圧迫力を算出した。また、各筋の収縮による内側関節圧迫力への影響を調べた。内反モーメントは身長と体重、内側関節圧迫力は体重を基準に正規化し、それぞれNm/%BW(body weight)*height、BWで表した。なお立脚期を100%として、%Stance Phase(%SP)で表して時間変化を調べた。統計はPearsonの相関係数を用い、内反モーメントおよび内側関節圧迫力のピーク値の関係性を検討した。有意水準は5%とした。【倫理的配慮、説明と同意】 本研究は大阪府立大学研究倫理委員会にて承認を得て実施した。なお、被験者には測定内容を事前に説明し、紙面にて同意を得た。【結果】 立脚期の内反モーメントは二つのピークを持ち、33%SPおよび71%SPでピーク値(2.43±1.93 Nm/%BW*height、2.06±2.17Nm/%BW*height)を示した。一方、内側関節圧迫力も二つのピークを持ち、26%SP、79%SPでピーク値を示した。初めのピーク(第1ピーク)の内側関節圧迫力は1.80±0.53BW、筋による内側関節圧迫力が0.63BWと35%が筋収縮によるものであった。各筋の影響を調べた結果、大腿四頭筋の内側関節圧迫力が0.51BWと高い値を示した。次のピーク(第2ピーク)値の内側関節圧迫力は2.48±0.72BW、筋による内側関節圧迫力が1.33BWと54%が筋収縮によるものであった。ここでは腓腹筋の内側関節圧迫力が1.04BWと高い値を示した。内反モーメントと内側関節圧迫力の相関係数は0.59(寄与率0.34)と有意な関係を認めた。 【考察】 内反モーメントおよび内側関節圧迫力はどちらも二つのピークがみられたが、ピーク出現時期が異なった。相関分析では内反モーメントと内側関節圧迫力の関係性は認められたものの、寄与率は0.34であり、内反モーメントの膝関節圧迫力の34%しか説明できないことが分かった。内側関節圧迫力の第1ピークでは大腿四頭筋、第2ピークでは腓腹筋が強く関与することから、内側関節圧迫力を検討するにはこれらの筋の収縮力を考慮する必要があると思われる。【理学療法学研究としての意義】 これまで内側型変形性膝関節症患者の歩行に関する研究では内反モーメントが注目を浴びていたが、内側関節圧迫力を考える上では膝関節周りの筋出力、特に大腿四頭筋や腓腹筋の収縮力を考慮する必要があることが示された。
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© 2013 日本理学療法士協会
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