理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: C-P-23
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ポスター発表
足関節果部骨折骨接合術後の臨床成績と主観的満足度との関係
菅原 亮太小野寺 智亮梅田 健太郎荒木 浩二郎瀬戸川 美香村田 聡石橋 晃仁
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抄録
【はじめに、目的】 足関節果部骨折は比較的頻度の高い外傷疾患である.足関節果部骨折の治療成績は整形外科医により報告されているが理学療法士による報告はなく,また,それらの内容は客観的なアウトカム研究でしかなされていない.近年,医療のアウトカム研究において,客観的指標のみではなく患者自身の主観的指標が積極的に取り入れられるようになってきている.そこで本研究の目的は,当院における足関節果部骨折骨接合術後患者の治療成績を調査すること,および,客観的な機能アウトカムと患者の主観的満足度との関連を検討することである.【方法】 対象は2012年1月から2012年8月までに当院で骨接合術と術後理学療法を行い理学療法終了時まで経過観察可能であった足関節果部骨折(開放骨折,脱臼骨折を含む)33例とした.内訳は男性20例,女性13例,受傷時平均年齢は48.1±16.8歳,受傷前ADLは全例独歩,骨折型はLange-Hansen分類SER型25例,PER型3例,SA型1例,PA型4例であった.理学療法終了時最終評価は術後平均135.7±59.7日で行われた.最終評価では足関節背屈ROM,底屈ROM,機能アウトカム,主観的満足度を調査した.機能アウトカムには,日本足の外科学会足部・足関節疾患治療成績判定基準の足関節・後足部判定基準(以下,JSSF)を使用した.主観的満足度はVisual Analogue Scale(以下,VAS)で0mmを「現在の足関節機能にまったく満足していない」,100mmを「現在の足関節機能にかなり満足している」として評価した.客観的指標であるJSSFの小項目(疼痛,機能,アライメント)の点数と主観的満足度(VAS)の関係についてSpearmanの順位相関係数を求めた.すべての検定における有意水準は5%未満とした.統計解析にはSPSSver12.0を使用した.【倫理的配慮、説明と同意】 本調査はヘルシンキ宣言に基づき,個人情報保護に十分注意し,患者の了承を得て施行した.【結果】 最終評価時の平均ROMは背屈23.6±5.3°,底屈54.1±5.2°であった.JSSFは平均96.5±4.9/100点であった.患者満足度はVASで平均87.5±10.9mmであった.主観的満足度とJSSFの小項目(疼痛,機能,アライメント)との相関関係について,JSSF疼痛と主観的満足度との間に有意な相関は認められず,JSSF機能と主観的満足度の間には有意な相関が認められた(r=0.567).なお,JSSFアライメントは全例が満点であったため相関係数は求めなかった.【考察】 足関節果部骨折は,軟部組織損傷,軟骨損傷などを伴うと治療に難渋する場合もあるが,一般的には安定した治療成績が報告されている.本調査でも最終評価時のROM,JSSFは良好な結果を認めた.患者の主観的満足度も比較的高い結果を認め,治療成績は良好であったと捉えられる.一般的に主観的指標の評価としてはSF-36などが使われることが多いが,本調査では臨床上簡便に計測できるVASで主観的満足度を評価した.過去の報告で主観的健康感や主観的幸福度をVASで調査した報告は散見されており,主観的満足度においてもVASの使用は有用であると考える.主観的満足度とJSSF機能との間には正の相関を認めた.これは,機能的な改善がみられると患者満足度にも改善がみられるということを示し,我々が普段行っている理学療法は患者満足度向上において有用であると考えられる.JSSF機能をさらに細かく見ると,活動制限や路面状況による歩行困難さで減点が多く認められた.これについて詳細な検討は行っていないが,動作上の制限があると満足度が低くなる可能性が示唆された.主観的満足度とJSSF疼痛との間に相関は認めなかった.これについては,33例中25例が満点であり,データのばらつきが少なかったために相関を認めなかったと考える.傾向としては,疼痛が残存している症例は満足度も低下する傾向にあった.痛みの強い者は主観的健康感も有意に低下するという報告もあり,痛みと主観的指標との間には密接な関係があると思われる.これらを明らかにするためには症例数の増加や疼痛評価法の再検討が必要である.【理学療法学研究としての意義】 患者の機能面と主観的満足度において,機能面の向上は患者満足度の向上につながる可能性が示唆された.整形外科医は機能アウトカムの評価を重要視するが,主観的な評価を取り入れることでより臨床的な治療成績を出すことが可能である.足関節果部骨折は骨折型により軟部組織損傷の程度が異なり手術や後療法の進め方も変わるため,今後臨床成績を調査するにあたり,骨折型別の成績や術後の継時的な変化について検討していく必要がある.
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© 2013 日本理学療法士協会
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