理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: E-P-11
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ポスター発表
要支援者における30秒椅子立ち上がりテストと歩行能力の関係
猪股 伸晃江原 大輔
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抄録
【はじめに,目的】運動器の機能向上は口腔機能向上や栄養改善と並んで要介護状態の改善や重度化予防の1つの手段とされている.近年の要支援者の増加に伴い心身機能改善の有用な介入プログラムの開発が求められており,要支援者の運動機能の特性を把握することは機能の維持・向上を考える上で重要である.本研究の目的は要支援者における30秒椅子立ち上がりテスト(以下CS-30)と歩行能力との関係を分析することにより,機能維持・向上プログラム作成の一助とすることである.【方法】分析対象は介護予防通所リハビリテーションにおける要支援者を対象に3ヶ月ごとに実施しているテストの中で26名(男性10名,女性16名)に実施した延べ174回のテストとした.対象期間はH22年5月よりH24年8月とした.テストでは,体格・体組成の指標として身長,体重,体脂肪率,筋力の指標として握力,CS-30,バランスの指標としてFunctional Reach Test(以下FRT), 歩行能力の指標として5m歩行時間(以下5m歩行),複合動作能力の指標としてTimed “Up & Go” Test(以下TUG)を測定した.握力は利き手あるいは強い方の手にて測定した.CS-30は手を胸の前で組んだ姿勢における椅子からの起立を30秒間に何回課題を遂行できるかを測定した.分析ではSpearmanの順位相関係数により各テストの関連性を検討した.またCS-30の増減が他テスト項目の結果に及ぼす影響を検討するため,CS-30の経過において1回以上増加した時期(以下増加期),また1回以上減少した時期(減少期)をそれぞれ抽出し,増加(減少)前と増加(減少)後の各テスト項目の測定値を比較した.増加前と増加後のテスト結果,減少前と減少後のテスト結果の比較にはWilcoxonの符号順位検定を実施した.なお,危険率p<0.05をもって有意差ありとした.【倫理的配慮,説明と同意】本研究は介護予防通所リハビリテーションにおいて定期的に行っている評価項目の一部を使用したものであり,評価結果を研究にも利用する旨を事前に対象者に説明し,書面にて同意を得ている.【結果】延べ174回のテストのうち性別内訳は男性62回,女性112回,介護度内訳は要支援1が64回,要支援2が110回であった.対象者のテスト実施期間の平均値は年齢81.5±8.5歳,身長146.7±8.0cm,体重52.3±8.5kg,BMI 24.5±4.7kg/m²,体脂肪率26.9±8.7%,握力19.9±6.8kg,FRT 21.8±8.0cm,CS-30 10.8±3.4回,TUG 15.9±9.4秒,5m歩行7.1±3.5秒であった.CS-30とFRTには有意な中等度の正の相関(ρ=0.443,p<0.01),CS-30と5m歩行,TUGには中等度の負の相関(順にρ=-0.443,-0.498,p<0.01)を認めた.CS-30の増加期は延べ51の期間,減少期は延べ60の期間に認められた.増加期では3ケ月間で9.7±3.4回から11.9±3.5回,減少期では12.0±3.2回から9.8±3.5回へと有意に変化した.増加期では他テスト項目において有意な変化は認められなかった.一方減少期においては,TUGが15.7±8.8秒から17.0±12.0秒,5m歩行が7.0±3.2秒から7.4±4.0秒へと有意な時間の延長(p<0.01)を認めた.【考察】CS-30の回数が減少した要支援者は5m歩行,TUGも時間が延長するという一定のパターンを認める傾向にあった.このことによりCS-30に増加を認める場合,下肢筋力の増大は他の測定項目に反映されないが,減少を認める場合,下肢筋力の低下と同時に歩行能力や複合動作能力の低下が生じることが示された.以上のことからCS-30の結果が1回以上減少した対象者において,運動機能を改善するためには下肢筋力の強化のみならず,同時に歩行練習や複合動作練習を運動療法として実践していく必要があると考える.今後の課題として処方した運動内容と運動機能の変化との関連性について調査していく必要がある.【理学療法研究としての意義】本研究は要支援者の下肢筋力と歩行能力・複合動作能力といった運動機能要素の関連性や変化の特性の一部を明らかにしたものであり,機能低下を防止するためのプログラム作成に示唆を与えるものである.
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© 2013 日本理学療法士協会
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