理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: G-S-02
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セレクション口述発表
廃用症候群に対するリハビリテーション調査(第1報)
-大規模多施設共同研究による検討-
浦田 修大西 正志三宅 信之金﨑 雅史佐藤 浩高田 誠佐々木 良範
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抄録
【はじめに、目的】 2010 年の診療報酬改定において、脳血管疾患等リハビリテーション(以下リハ)料は、廃用症候群と廃用症候群以外の二つの体系にして診療報酬に格差を設け、廃用症候群の点数を低くする報酬とした。その背景には、廃用症候群の診断や算定方法、リハの効果の検証等が不十分などの問題点が指摘されているようである。 そこで、当会ではこれまでの廃用症候群におけるリハの効果を示す報告はサンプルサイズが小さく、大規模多施設共同研究ではなされていないために、廃用症候群へのリハの効果の検証が不十分である。従って、大規模多施設共同研究において、廃用症候群の患者特性と日常生活動作指標におけるリハの効果を明らかにすることを本調査の目的とする。【方法】 対象者は当会に加盟する病院において、医師よりリハの処方・指示を受けている全ての患者のうち、廃用症候群と診断され、2011年8月1日から31日の期間にリハの処方・指示を受けているか、もしくはリハを実施している患者とした。また、20歳以上の成人を対象とし、19歳以下のデータを除外した。調査結果の検証に関しては、SPSSver17を用いてwilcoxon符号順位検定を行った。有意水準は5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】 本調査はヘルシンキ宣言に基づいて、倫理的配慮を行い実施した。全ての患者の調査票、調査の集計・結果等において、個人が特定できないように配慮した。【結果】 調査の協力事業所は31県77病院。対象症例は、2,550症例。ただし、20歳以上の成人を対象とし、19歳以下のデータを除外した。平均年齢は80.56歳±10.55歳(平均値±標準偏差)。男女比は、男性1,203例(47.18%)、女性1,347例52.82%)であった。 調査終了時の8月31日現在の所属は、一般病棟(DPC病棟)832例(32.63%)、一般病棟(その他)513例(20.12%)、回復期リハ病棟328例(12.86%)、他。リハ開始前の所属では、自宅1,412例(55.37%)、一般病棟(DPC病棟)309例(12.12%)、一般病棟(その他)248例(9.73%)、他、であった。 原因疾患では、肺炎651例(25.53%)、心不全247例(9.69%)、腹部外科術後150例(5.88%)、他、であった。廃用症候群診断までの経過日数は、平均14.71日±33.39日(平均値±標準偏差)。廃用症候群診断から調査終了時の2011年 8月31日までの経過日数は、平均53.13日±73.94日(平均値±標準偏差)。リハの実施量(8月の実施のリハ総単位数)は、平均39.42単位±40.87単位(平均値±標準偏差)であった。 原因疾患の発病や廃用症候群にいたる前の日常生活自立度は、J491例(19.27%)、A690例(27.08%)、B731例(28.69%)、C636例(24.96%)。原因疾患の発病や廃用症候群にいたる前の認知症老人の日常生活自立度は、無し664例(26.04%)、I405例(15.88%),II662例(25.96%)、III405例(15.89%)、IV321例(12.59%)、M93例(3.65%)であった。 リハ効果については、日常生活機能評価指標(n=2,218例)では、1.48点の改善(p<0.0001)。BI(n=1,656例)では、10.46点の改善(p<0.001)。FIM(n=879例)では、運動5.84点の改善(p<0.0001)、認知ADL0.72点の改善(p<0.0001)、合計で6.56点(p<0.0001)。【考察】 今回の調査結果より、廃用症候群にかかわる様々な患者背景が確認され、高齢者特有の様々な疾患の安静等に伴う廃用症候群が多数存在する事が確認された。また、廃用症候群に対するリハの有用性・効果は3種類のADLのスコアに統計学的に改善が見られた。【理学療法学研究としての意義】 2012年の診療報酬改定の経過の中では、2012年2月10日の中医協の「診療報酬改定に係わる答申書の付帯意見」の中に、「廃用症候群に対する脳血管疾患等リハの実施状況について調査・検証するとともに、その結果を今後の診療報酬改定に反映させること」とあり、今回当会が実施した調査結果も理学療法研究として非常に有用と思われる。
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© 2013 日本理学療法士協会
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