理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: G-O-01
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一般口述発表
保健医療福祉学部学生における規範意識に関する調査
第二報
井上 和久平野 裕子山本 英子新井 恵黒澤 岳博
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抄録
【はじめに、目的】規範意識についての実態調査は、教育心理学部や小・中・高校などで実施されており、医療系大学で規範意識に関する質問紙調査はあまり実施されていない。現在の日本において、社会変動による社会的要因と個人の認知発達による心理的要因により個々人の規範意識に差が生じてくる。我々はあらゆる規範や社会的ルールを個人の自由だと判断しているのではなく、行為自体に善悪の規定がある「道徳領域」や文化的な一様性を持つ「慣習領域」を個人の自由と区別しており、加齢に伴い、自己の決定の判断を発達させていくと示されている。但し、規範意識は個々人によって育った環境・発達によって差が生じてくる。さらに、育った環境や発達によって規範意識は違うことがある。そこで、今回本学学生に規範意識に関するアンケート調査を実施し、5学科の調査結果を得たので報告する。【方法】本調査は、平成23年7月における筆者ら所属の学部1年生370名(A学科:以下A、B学科:以下B、C学科:以下C、D学科:以下D、E学科:以下E)を対象にアンケート調査(留置調査法)を実施した。調査内容は基本属性(9問)と規範意識に関する5つのカテゴリ(大学生活40問・慣習22問・家庭生活16問・法律17問・その他1問の96問)の計105問。回答方法として、基本属性については該当箇所に○を記入および内容について記載、規範意識は、その項目に自分自身体験がある場合に○、他の人の行動についてどのように思うか(5段階:1箇所のみ回答)について調査した。【倫理的配慮、説明と同意】対象者には、アンケート調査の目的を説明した上で同意していただける方のみアンケートに記入していただき回収した。なお、本調査は演者らが所属する倫理委員会にて承認を得て実施した(第23005号)。【結果】有効回答数は180名で回収率48.6%(A 49名:40.8%、B 41名:93.2%、C 14名:35%、D 31名:44.3%、E 45名:40.9%)であった。基本属性の回答として、回答者の内訳は女性150名(A 49名、B 27名、C 10名、D 27名、E 37名)、男性30名(B 14名、C 4名、D 4名、E 8名)で、未成年の飲酒・喫煙に関する回答は、飲酒41名(女性28名:A 14名、B 3名、D 5名、E 6名、男性13名:B 5名、C 2名、D 1名、 E5名)、喫煙1名(女性1名:A)であった。設問の自分自身の体験があるについて「大学生活」に関する「大学所有の物品を盗む」は2名(D 1名、E 1名)、「慣習」に関する「マナーやモラルに配慮する」は159名(A 44名、B 37名、C 13名、D 27名、E 38名)、「家庭生活」に関する「無断で親のお金を持ち出す」は5名(A 3名、E 2名)、「法律」に関する「人のものを盗む(自転車・教科書など)」は2名(D 1名、E 1名)、「その他」に関する「マナーやモラルは自分一人くらいなら守らなくてもいいと思う」は11名(A 3名、B 5名、E 3名)であった。また、「慣習」に関する「マナーやモラルに配慮する」の他人の行動について良いという回答は146名(A 40名、B 34名、C 12名、D 26名、E 34名)で、「その他」に関する「マナーやモラルは自分一人くらいなら守らなくてもいいと思う」の他人の行動について悪いという回答は76名(A 27名、B 17名、C 4名、D 15名、E 13名)であった。【考察】保健医療福祉学部学生における規範意識に関する実態調査を実施した結果、規範意識に関して全体の回答からは他人の行動に関して少しでも意識し善し悪しの判断をしているかについて伺えた。ただ、今回マイナスな設問の回答をピックアップしたところ、少数の学生については規範意識が欠如している学生が存在していることが明確となった。保健医療福祉学部の学生といえども規範意識が欠如していた場合、今後学内でのキャンパスライフや卒業後、社会に出た場合、大きな支障を来すと考えられる。こういった少数の学生を如何に判断し、各学科で連携・協働し注意・指導していく方策案について、今後十分検討しなければいけないと考えられた。さらに学内教育において専門知識や技術の教授のみならず普段から学生との関わりを通して規範意識について十分観察し、注意していくことが大切だと考えられた。今回の実態調査の結果から、今後どのように変容していくか経時的に調査をする必要性が考えられた。【理学療法学研究としての意義】規範意識の実態調査結果から保健医療福祉学部の養成校において、学内教育に必要な情報(知識・技術以外)として意義があると思われた。なお、本調査は平成23年度埼玉県理学療法士会研究推進補助金11-04を受けて実施したものである。
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© 2013 日本理学療法士協会
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