理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: B-P-18
会議情報

ポスター発表
回復期脳卒中患者の身体活動量と身体機能との関係
澤村 幸恵伊藤 優也皆方 伸川越 厚良照井 佳乃塩谷 隆信佐竹 將宏
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【はじめに、目的】 身体活動量を評価する加速度計法は,加速度センサーにより測定した加速度を加算し活動量を評価する方法で,身体活動量を評価する有用な方法とされている.脳卒中患者を対象とした先行研究では,身体活動量は質問紙法・行動記録法で検討されているが,客観性に乏しい.また,回復期リハビリテーション病棟の目標であるADL向上を検討した研究や,入院期間中の身体活動量の変化を検討した研究も少ない.そこで,本研究の目的は,回復期脳卒中患者を対象に,3軸加速度計を用いて,日中の身体活動時間を測定し,身体機能,ADL能力との関係を分析した.【方法】 対象は,2012年1月から10月までに当センター回復期リハビリテーション病棟に入院していた脳卒中患者25名.対象者の内訳は,男性17名・女性8名,平均年齢67.1±12.8歳,右麻痺10名・左麻痺9名・麻痺なし6名,平均罹病期間42.4±13.3日であった.測定に支障となるような高次脳機能障害や整形外科疾患等を呈する症例は除外した.評価項目としては,身体活動時間(歩行,立位,座位,臥位),Berg Blance Scale(BBS),10m最大歩行速度,脚伸展筋力(麻痺側,非麻痺側),Mini-Mental State Examination(MMSE),FIM(運動,認知)の6項目とした.身体活動時間の測定には,生活活動度計(Activity Monitoring and Evaluation System:A-MES,ソリッドブレインズ,熊本)を用いた.本機器は,2つの小型3次元・加速度センサーと分析ソフトからできている.2つのセンサーを対象者の体幹および非麻痺側大腿に装着した.各センサーの位置関係および計測された加速度から歩行,立位,座位,臥位の4つの身体活動時間を測定することができる.脚伸展筋力の測定には,Strength Ergo240(三菱電機エンジニアリング)を用いた.ペダル回転数を40r/minとし,最大トルクを体重で除した値を算出した.解析には,Personの相関係数と重回帰分析を行った.統計ソフトにはSPSS for windows ver.16を使用した.【倫理的配慮、説明と同意】 対象者には事前に本研究の内容を説明し同意を得た.また,秋田大学医学部と秋田県立脳血管研究センターの倫理委員会の承認を得た. 【結果】 身体活動量の一日平均時間は,歩行時間は61.5±36.1分,立位時間は22.8±13.7分,座位時間は386.6±85.7分,臥位時間は191.6±87.9分であった.BBSは46.7±10.7点,10m最大歩行速度は69.4±44.9m/min,脚伸展筋力は麻痺側で0.90±0.49N・m/kg,非麻痺側で1.11±0.40N・m/kg ,MMSEは26.1±3.1点であった.運動FIMは67.8±13.1点,認知FIMは25.8±4.9点であった.身体活動時間と各種測定項目間の関連性では,歩行時間は,立位時間(r=0.47),BBS(r=0.62),10m最大歩行速度(r=0.53),麻痺側脚伸展筋力(r=0.55),運動FIM(r=0.67)と有意な正の相関関係を示し(p<0.01),非麻痺側脚伸展筋力(r=0.42),認知FIM(r=0.36)と有意な正の相関関係を示した(p<0.05).座位時間は,麻痺側脚伸展筋力(r=-0.36)と有意な負の相関関係を示した(p<0.05).立位時間と臥位時間においては,各種測定項目間との関連性はみられなかった.運動FIMと各種測定項目間の関連性では, BBS(r=0.86),10m最大歩行速度(r=0.73),麻痺側脚伸展筋力(r=0.74),非麻痺側脚伸展筋力(r=0.54),認知FIM(r=0.57)と有意な正の相関関係を示した(p<0.01).運動FIMを従属変数として,重回帰分析を行った結果,麻痺側脚伸展筋力と歩行時間が抽出された(決定係数:0.692).【考察】 歩行時間は,各種測定項目間と有意な相関関係にあったことから,一日の歩行時間の長さが身体機能やADL能力と関係していることが示された.一方で,立位時間や座位時間の長さは,身体機能やADL能力と関係しないことが示された.このことから,理学療法プログラムや病棟生活において積極的に歩行を取り入れる工夫を行うことが身体機能やADL能力改善につながる可能性が示唆された.【理学療法学研究としての意義】 回復期脳卒中患者の身体活動量と身体機能との関係を知ることで,より効果的な理学療法プログラムの立案に寄与すると考えられる.
著者関連情報
© 2013 日本理学療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top