理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: B-P-23
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ポスター発表
筋萎縮症患者に対する脊柱固定術周術期の理学療法について
岩田 裕美子西薗 博章山本 洋史宗重 絵美久保 美佳子輿那嶺 春野川村 佳祐井上 貴美子
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抄録
【テーマ】筋萎縮症患者に対する脊柱固定術周術期の理学療法について【はじめに,目的】近年、筋ジストロフィーなどの脊柱変形に対して欧米では脊柱固定術が治療の第一選択とされている。本邦でも平成16年に脊柱変形の治療ケアマニュアルが作成され限られた施設ではあるが実施されるようになったが、手術や術後に関する情報が少なく患者家族にとっては不安が非常に強いのが現状である。そこで脊柱固定術術後の理学療法(PT)で考慮すべき点、術後に生じる生活上の問題などについて検討し、周術期の理学療法士の役割について検討することを目的とした。【方法】1988~2011年で脊柱固定術を施行した筋萎縮症患者のうち現在もフォローできている患者を対象とした。方法は診療録をもとに手術時年齢と、日常生活活動動作(ADL)、入院日数、術前後のcobb角、術後経過を調べ、手術に関するアンケート調査を行った。アンケート内容は1.手術施行からの経過期間、2.手術の満足度、3.手術を決断するまでの期間、4.手術後に困ったこと、5.術後1年以上経過して問題になっていること、6.今後手術を受ける方へ伝えておきたいことなどについて調査した。【倫理的配慮,説明と同意】本研究はヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則や臨床研究計画書を作成し当院倫理委員会の承認を得た。対象者には研究に関する趣旨を説明し,紙面による同意を得た。【結果】脊柱固定術を施行した筋萎縮症患者は32名であった(13.8±1.5歳)。そのうち現在もPTでフォローできている在宅の筋萎縮症患者13名(13.9±1.6歳)が対象となった。内訳はデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)患者27名、脊髄性筋萎縮症(SMA)患者1名であった。ADLは、座位保持可能(DMD4名)・不能群(その他)に別れ全症例で電動車椅子を操作、入院日数は36.7±9.3日(N=14)であった。cobb角は13名中8名で確認でき、術前22~130度(平均49.8度)、術後0~60度(平均21.3度)であった。術後経過では、疾患に問わず不安や神経質になる患者が多かった。全例で創部痛の改善とともに座位時間が延長し術前の状態まで回復しており、また座高が伸びたため車椅子などの座位姿勢をはじめ、机の高さ調整など環境調整が必要であった。アンケートは11名で回答が得られた。術後経過は、半年以内と6年以上が各4人、3年以上が3人であった。手術をして良かったことは、姿勢が良くなった、内蔵への圧迫がなくなり楽になった、という全例で満足度の高い回答であった。手術を決断するのにかかった期間は2~3カ月が8名と一番多かった。手術後困ったことで一番多かったのが 介助方法の縦抱きから横抱きへの変更であった。術後1年以上経過して問題になっていることは痩せにより手術部分の骨や金具が突出してきたので、保護をしないと痛みや傷になりやすいことであった。【考察】cobb角の改善とともに座高が伸びるため、術後の環境調整は不可欠である。特に食事やトイレ動作など座位バランスを必要とする動作では、アライメント変化後の再獲得には痛みの改善と環境調整を含め約1ヶ月は必要だった。その他、和式から様式生活への変更、車椅子に関しては再作成が必要な症例もあり術前からの準備が重要である。環境調整がスムーズに整わない症例などは入院日数が延長する傾向にあった。アンケート調査より、手術を決断する期間は数ヶ月以上かかるので、変形が出現する前に情報提示の必要性があると考える。決断する期間をふまえて、術後の経過や対策について説明できれば、手術をする決断や準備として役立つのではないかと思われた。術後のリハビリテーションでは術後の環境調整の必要性に加え、家族への介助方法の指導、メンタル面において患者や家族へのサポートが必要だということがわかった。今回の研究をもとに術後の経過なども含め情報提示を行うことで、患者の不安が軽減し脊柱変形の進行予防の選択肢として手術が普及していくことが望まれる。【理学療法学研究としての意義】本邦でも筋萎縮症患者に対する脊柱固定術は限られた施設ではあるが実施されるようになってきたが、手術や術後に関する情報が少なく患者家族にとっては不安が非常に強いのが現状である。本研究を行うことで、まず理学療法士が手術や術後療法に関する知識を深め、患者に情報提示することで患者の不安が軽減し脊柱変形の進行予防の選択肢として手術が普及していくことが望まれる。
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© 2013 日本理学療法士協会
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