抄録
偽の正中唇裂は脳の形成異常から,てんかん,代謝内分泌異常を伴うことが多く,生命予後はよくないといわれている。しかし最近では,全身状態の改善,てんかん治療など小児科と連携することにより全身麻酔可能な状況であれば積極的に手術行なうという報告が散見される。今回われわれは,偽の正中唇裂の口蓋形成術を行ない,抜管直後にてんかん発作が頻発し,舌根沈下を起こし,マスク換気困難となり,再送管後,集中治療が必要となった1例を経験したので報告する。症例は1歳10ヶ月男児。生後よりてんかん発作,及び偽の正中裂を認めた。4ヶ月時に口唇鼻形成手術が行われ,1歳10ヶ月時に口蓋形成手術が行われたが,術後換気困難となり,再挿管が必要となった。その後集中治療,気管切開が行われ,呼吸が安定した。