抄録
課題遂行前に与えられるユーモア刺激のタイプが,課題遂行やその時の生理反応に及ぼす影響を検討した。まず,予備実験において,8名の大学生が20作品の4コマ漫画を,遊技的ユーモアあるいは攻撃的ユーモアと感知する程度について評定した。本実験では,それぞれのタイプのユーモアを高く感知する漫画各8作品を刺激材料として,漫画閲覧前後の脳波と,閲覧後の単純作業の成績を測定した。その結果,両タイプの材料は「おかしさ」の評価自体には違いが認められず,4コマ漫画閲覧後のα波含有率に関しても,ユーモアのタイプによる違いは認められなかった。しかし,「おかしさ」の評価と課題遂行との関係について,攻撃的ユーモアを表す4コマ漫画に対してのみ,「おかしさ」の評価が高くなるほど課題の遂行量が増加する傾向が認められた。α波含有率と課題遂行との関係は明確でなかったが,攻撃的ユーモアによる活性水準の増加が示唆される。