抄録
本研究では,“捨てる”という身体動作によって,記憶を忘れることができるかどうかを検討した。学習段階では,15単語が印字された用紙を呈示し,後のテストのために覚えた。記銘時間は30秒であった。その後,実験者が「ゴミ箱」と言ったら,刺激が印字された用紙をクシャクシャにしてゴミ箱に捨てる,実験者が「ポケット」と言ったら,四つ折りにして自分の服のポケットにしまった。テスト段階では,学習語の自由再生テストを行った。その結果,「捨てる/しまう」動作によって学習語の再生に違いは生じなかったが,ルアー語の虚再生に違いが認められた。これは,捨てる動作によって学習エピソード情報が使いにくくなったために,ルアー語が棄却できず,その結果,誤って再生しやすくなったと考えられる。