抄録
本研究では,単純な図形とそれを表す語を用いて,単純接触効果の転移が生じるかを検討した。実験1では,5種類の図形に対応する語を接触フェイズで反復呈示した(2回,5回,10回)。その後,それらの語が表す図形を2つずつ視覚呈示し,参加者はどちらの図形が好ましいかという二肢強制選択の選好判断課題を行った。その結果,選好の割合は,2回呈示された語が表す図形より10回呈示された語が表す図形の方が有意に高かった。実験2では,図形を表す3つの語を接触フェイズで10回ずつ呈示し,その後反復呈示した語が表す図形と新しい図形を視覚的に対呈示して選好判断課題を行った。その結果,反復呈示した語が表す図形が選好された割合はチャンスレベルの50%より有意に高かった。これらの結果から,語とそれに対応する図形の間で単純接触効果の転移が生じることが示された。