抄録
事件や事故の捜査には、正確で豊富な目撃情報の取得が重要な役割を果たす。Self-Administered Interview©の日本語版である目撃者遂行型調査は、目撃情報を効果的に取得できる質問紙である。目撃者は言語報告に加え、スケッチを用いた報告も行う。本研究では、目撃者遂行型調査の効果に個人差があるかを検討するため、言語型-視覚型質問紙を用いて、認知スタイルが目撃者遂行型調査に及ぼす影響を検討した。65名の実験参加者が、架空の事件のビデオの内容を目撃者遂行型調査で再生した。その結果、スケッチによる報告を含めない正答数は言語型群と視覚型群で同程度であったが、スケッチによる報告の正答数は言語型群より視覚型群の方が多い傾向にあることが示された。目撃者遂行型調査による記憶の想起は、認知スタイルが視覚型である目撃者に対してより効果的である可能性が示唆された。