抄録
米飯成分に及ぼす精白米内在性酵素の影響を5品種の米(コシヒカリ・日本晴・羽二重糯・夢十色・ジャスミンライス)で比較した。炊飯温度履歴が米飯成分に及ぼす影響を日本晴を試料米として調べたところ,先に示したコシヒカリと同様の挙動を示した。また,炊飯によってグルコースを主とした糖類が増加すること,一方でアミノ酸の変化は少ないことが5品種共通の現象として確認された。内在性の加水分解酵素の温度特性は,5品種で類似しており,糖基質の分解は60°Cで最大となった。一方でプロテアーゼ活性はいずれも低かった。5品種の米粉の糊化は60-64°Cで開始した。これらから,コシヒカリで示した炊飯過程における米飯成分変化のメカニズムは,他品種の米にも適用可能であることが示された。すなわち,内在性酵素によるグルコース生成においては60°C付近が重要であり,米飯の糖成分には炊飯方法が大きく影響することが明らかになった。