日本調理科学会誌
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搗精度合の異なる米における米内在性酵素の米飯成分への影響
馬橋 由佳矢吹 理美大倉 哲也香西 みどり
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2010 年 43 巻 4 号 p. 237-245

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抄録
 米飯成分に及ぼす米内在性酵素の影響を4段階の搗精度合(85・90・95・100%)の米で比較した。各搗精度合の生米と標準炊飯米の成分を比較したところ,炊飯によって特にグルコースを主とした糖類が増加することが共通して確認された。グルコースの増加率は搗精度の高い米で高く,還元糖やアミノ酸の増加率は搗精度の低い米で搗精度の高い米よりも相対的に高かった。米内在性加水分解酵素の温度特性を比較すると,60°C付近のグルコシダーゼ活性は85%・90%搗精米で高く,30°C付近のアミラーゼ活性および40-60°Cのプロテアーゼ活性は95・100%搗精米で高くなった。糊化特性はいずれの搗精度合でも類似していた。いずれの搗精度合においても60°Cでのグルコース生成は炊飯過程において特徴的な現象であったが,搗精度合の異なる試料間では,内在性酵素の挙動に差があり,米飯成分に影響することが考えられた。
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© 2010 一般社団法人日本調理科学会
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