日本調理科学会誌
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43 巻, 4 号
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総説
報文
  • 馬橋 由佳, 三輪 有紀枝, 大倉 哲也, 香西 みどり
    2010 年43 巻4 号 p. 228-236
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/10/03
    ジャーナル フリー
     米飯成分に及ぼす精白米内在性酵素の影響を5品種の米(コシヒカリ・日本晴・羽二重糯・夢十色・ジャスミンライス)で比較した。炊飯温度履歴が米飯成分に及ぼす影響を日本晴を試料米として調べたところ,先に示したコシヒカリと同様の挙動を示した。また,炊飯によってグルコースを主とした糖類が増加すること,一方でアミノ酸の変化は少ないことが5品種共通の現象として確認された。内在性の加水分解酵素の温度特性は,5品種で類似しており,糖基質の分解は60°Cで最大となった。一方でプロテアーゼ活性はいずれも低かった。5品種の米粉の糊化は60-64°Cで開始した。これらから,コシヒカリで示した炊飯過程における米飯成分変化のメカニズムは,他品種の米にも適用可能であることが示された。すなわち,内在性酵素によるグルコース生成においては60°C付近が重要であり,米飯の糖成分には炊飯方法が大きく影響することが明らかになった。
  • 馬橋 由佳, 矢吹 理美, 大倉 哲也, 香西 みどり
    2010 年43 巻4 号 p. 237-245
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/10/03
    ジャーナル フリー
     米飯成分に及ぼす米内在性酵素の影響を4段階の搗精度合(85・90・95・100%)の米で比較した。各搗精度合の生米と標準炊飯米の成分を比較したところ,炊飯によって特にグルコースを主とした糖類が増加することが共通して確認された。グルコースの増加率は搗精度の高い米で高く,還元糖やアミノ酸の増加率は搗精度の低い米で搗精度の高い米よりも相対的に高かった。米内在性加水分解酵素の温度特性を比較すると,60°C付近のグルコシダーゼ活性は85%・90%搗精米で高く,30°C付近のアミラーゼ活性および40-60°Cのプロテアーゼ活性は95・100%搗精米で高くなった。糊化特性はいずれの搗精度合でも類似していた。いずれの搗精度合においても60°Cでのグルコース生成は炊飯過程において特徴的な現象であったが,搗精度合の異なる試料間では,内在性酵素の挙動に差があり,米飯成分に影響することが考えられた。
資料
  • 深井 洋一, 鈴木 生美, 西井 賢悟, 大熊 桂樹
    2010 年43 巻4 号 p. 246-259
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/10/03
    ジャーナル フリー
    清酒および味噌について4ヵ月間にわたり雪室貯蔵を行い,その品質に及ぼす影響について,理化学的性状と官能評価により検証した。貯蔵環境の調査では雪室区は,4ヵ月間の平均値で温度1.7℃,湿度96.9%RHを示し,高湿度状態が安定的に保持された。得られた理化学的性状および官能評価について統計解析を行った。
    その結果,主成分得点より,清酒は寄与率の高い第一主成分を中心に,雪室区と対照区および慣行区の2群の差異が大きいことが示された。味噌は,雪室区,対照区および慣行区それぞれほぼ等間隔に3群に布置される傾向であった。主成分負荷量および因子分析による因子構成より,雪室貯蔵した清酒と味噌は,主に色調,酸味,旨味,甘味および香りの因子に,影響を及ぼす可能性があることが示唆された。
  • 山内 知子, 小出 あつみ, 山本 淳子, 大羽 和子
    2010 年43 巻4 号 p. 260-264
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/10/03
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,学生の箸の持ち方の実態を把握し,受けた指導や食事マナーに対する意識との関連を明らかにすることである。写真撮影法により,87名の女子学生の箸の持ち方を分類した。伝統群は60.9%,その他非伝統群は39.1%あり,多くの女子学生が伝統的な持ち方を身につけていないことがわかった。非伝統群の箸の持ち方は6種類に分類できた。伝統群は幼児期から長期にわたり父母の指導を受けており,伝統的な箸の持ち方が習慣化した。一方,非伝統群は指導を受けた時期が遅く,指導期間も短期間であった。幼児期までに伝統的な箸の持ち方を継続的に教育する必要性が示唆された。伝統群は非伝統群より箸の正しい持ち方や家族揃って食事をすることの大切さに関して有意に(p<0.05)意識が高かった。両群ともに伝統的な箸の持ち方を次世代に継承したいと考えていた。
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