抄録
本研究は,乳酸カリウム(PL)の官能特性を評価し,グルタミン酸ナトリウム(MSG)および食塩(NaCl)と組み合わせたすまし汁モデルにおいてPLの添加効果を検討した。PLの呈味の特性描写は,熟練パネル(13~15人)によりSD法を用いて行った。また,すまし汁モデルの呈味特性に対するPL添加の影響は, Scehfféの一対比較を用い,同じパネルにより行った。
0.4~0.8%のPL溶液は乳酸ナトリウムと比べて若干苦味をもつが,塩味が弱わく穏やかな味であった。1%未満の比較的低濃度域において,それら乳酸塩の呈味特性は,温度によって影響を受けることが認められた。五基本味との組み合わせでは,酢酸溶液の酸味を除き,PLは基本味固有の味を抑制する効果を持っていた。0.6%の食塩を含むすまし汁モデルの実験では,PLの濃度が増加するに従い,塩味や酸味が弱まり,味のバランスが良くなり,味の質が快く受容性が向上した。これらの結果より,PLは味のバランスを取り,快い味にする役割をもつ傾向が認められた。