ムクナ豆の硬さ,L-DOPA含量,および組織変化に及ぼす貯蔵の影響について検討した。ムクナ豆は貯蔵の影響を受けやすく,高温高湿(30℃/75% RH),常温(20℃/60% RH)および低温低湿(4℃/35% RH)において硬化した。最も変化が小さかったのは冷蔵保存(4℃/80% RH)した豆であった。L-DOPA含有量は高温高湿で貯蔵してもほとんと変化はみられなかったが,煮豆にすることで生豆に対して約1/3に減少した。ムクナ豆の硬化の機構はAISの分析によりペクチンと二価のカチオンによる架橋形成が関与するよりもペクチン以外の細胞壁構成成分と金属イオンとの相互作用が関与している可能性が大きいことがわかった。また,DSCやSEMの結果より,でんぷん周囲のタンパク質の変性により加熱中のでんぷんの膨潤糊化が妨げられることも要因の一つであることも示唆された。