日本調理科学会誌
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おから粉末を利用した魚肉つみれの高齢者向け介護食品としての品質評価
秋山 聡子池田 昌代鈴野 弘子
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2019 年 52 巻 4 号 p. 249-257

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抄録

 我が国では,便秘や低栄養の症状をもつ高齢者が増加しており,食物繊維やたんぱく質を豊富に含むおからを摂取することで,それらの症状を緩和することが期待できる。本研究では,高齢者向けの食物繊維を豊富に含むたんぱく質食品の開発を図ることを目的として,おから粉末を0,5,8,10%(w/w)添加した魚肉ねり製品(つみれ)を調製し,品質評価を行った。栄養素量の算出と色相の測定から,おから粉末添加の増加に伴い,食物繊維量,b*値の増加が認められた。テクスチャー特性値は,おから8%とおから10%が介護食品の物性規格に該当した。色相とテクスチャー特性値から,おから粉末の添加割合は8%が妥当であること判断した。衛生試験から,安全が確保されていることを確認後,官能評価を行った。分析型では,テクスチャー特性値と同様,おから8%はおから0%に比べ,やわらかく,べたつきが強い結果となった。嗜好型では,おから8%の物性は好まれないと評価されたが,今回の官能評価のパネルは若年者であった。これらより,本研究で調製したおから粉末を8%添加したつみれは,高齢者が食物繊維を摂取できる食品である可能性が高いことが示唆された。

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© 2019 一般社団法人日本調理科学会
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