2020 年 53 巻 3 号 p. 167-176
ウバガイ足部の5℃貯蔵および加熱による食味の変化について調べた。生試料を5℃で10日間までの貯蔵により,重量は徐々に減少し,10日目には元の90%になった。5℃貯蔵中に遊離アミノ酸総量には有意な変化がみられなかったが,オルニチンは貯蔵10日目に有意に増加し,腐敗との関連がみられた。ATPは貯蔵3日目以降に減少し,鮮度指標K’値は貯蔵5日目に48%であった。
加熱によりウバガイ足部の重量は減少し,30分間加熱試料の重量は加熱前の65%であった。加熱試料の遊離アミノ酸量,ATPおよび関連化合物量は生試料よりも多かった。加熱試料の剪断力,貫通力,厚さは生試料より有意に増加し,30分間加熱試料で最高値を示した。官能評価の結果,生試料は生臭いにおいが強かった。10分間加熱試料は生試料および15秒間加熱試料よりも歯切れが悪く,弾力が強かった。総合的な好ましさでは,15秒間加熱試料が最も好まれ,生試料は好まれなかった。