日本調理科学会誌
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異なるゲル化剤を用いた重湯ゲルの嚥下時筋活動および官能評価を用いた食べやすさの評価
中川 裕子筧 慎治髙橋 智子大越 ひろ
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2024 年 57 巻 1 号 p. 19-26

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抄録

 嚥下障害者に適した食形態として,ゼリーやペーストなどが難易度の低い物性として用いられる。ゼリーを調製するためのゲル化剤としては,これまでは主にゼラチンが利用されてきたが,調製時に長時間の冷蔵が必要となり,温度による変化が大きいことが問題となる。現在,市販ゲル化剤には多くの種類がある。本研究では,調製時に加熱不要なグルコマンナンが主原料のゲル化剤を用いて調製したゲルについて,ゼラチンおよびゼラチン寒天との比較を,力学的特性,官能評価および嚥下時の筋活動測定による食べやすさの点から行った。

 若年者を対象とした官能評価および嚥下時筋電図測定の結果,グルコマンナン主原料のゲル化剤で調製した重湯ゲルは,飲み込みやすく,嚥下時筋活動時間が短いことが示唆された。嗜好性も高いことから,在宅介護での食事作りに適したゲル化剤であることが示された。

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