日本調理科学会誌
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57 巻, 1 号
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総説
報文
  • 佐藤 恵美子, 横山 悠太
    原稿種別: 報文
    2024 年 57 巻 1 号 p. 7-18
    発行日: 2024/02/05
    公開日: 2024/02/08
    ジャーナル 認証あり

     ゴマ豆腐の物性(粘弾性,テクスチャー)に及ぼす葛澱粉,ゴマ,水の相互作用についてSchefféの方法によって確立された単純格子計画法を用いて検討した。三つの成分の割合は8つの格子点モデルを用いて検討し,その三成分の割合の総和は1である。硬さ,付着性,ニュートン体粘性率(遅延粘性率 η1,定常粘性率 ηN)は,葛澱粉が最高水準で調製された時のゴマ豆腐が最も高い値を示し,水が最高水準で調製された時のゴマ豆腐は最も低い値を示した。しかし,凝集性とフック体弾性率(E0)は葛澱粉とゴマの割合が各々1/2の水準の時に,葛澱粉とゴマの間には相乗作用が認められ,最も高い値を示した。さらに,官能評価の結果から,葛澱粉とゴマの割合が各々1/2の水準で調製されたゴマ豆腐は口あたり,総合評価において高く評価された。

  • 中川 裕子, 筧 慎治, 髙橋 智子, 大越 ひろ
    原稿種別: 報文
    2024 年 57 巻 1 号 p. 19-26
    発行日: 2024/02/05
    公開日: 2024/02/08
    ジャーナル 認証あり

     嚥下障害者に適した食形態として,ゼリーやペーストなどが難易度の低い物性として用いられる。ゼリーを調製するためのゲル化剤としては,これまでは主にゼラチンが利用されてきたが,調製時に長時間の冷蔵が必要となり,温度による変化が大きいことが問題となる。現在,市販ゲル化剤には多くの種類がある。本研究では,調製時に加熱不要なグルコマンナンが主原料のゲル化剤を用いて調製したゲルについて,ゼラチンおよびゼラチン寒天との比較を,力学的特性,官能評価および嚥下時の筋活動測定による食べやすさの点から行った。

     若年者を対象とした官能評価および嚥下時筋電図測定の結果,グルコマンナン主原料のゲル化剤で調製した重湯ゲルは,飲み込みやすく,嚥下時筋活動時間が短いことが示唆された。嗜好性も高いことから,在宅介護での食事作りに適したゲル化剤であることが示された。

  • 柴田(石渡) 奈緒美, 森 沙織, 大場 君枝
    原稿種別: 報文
    2024 年 57 巻 1 号 p. 27-33
    発行日: 2024/02/05
    公開日: 2024/02/08
    ジャーナル 認証あり

     本研究は小麦アレルギー対応のひとつとして,おからを利用したおから製パン粉様食品(おから製パン粉)の粒子径や含水率の違いに伴う食感と保存性への影響を検証した。その結果,粒子径が大きく,かつ含水率が低いおから製パン粉は,圧縮されてもすぐに破壊せず,硬い衣になることが明らかになった。常温保存後に揚げ調理したおから製パン粉の過酸化物価は,粒子径の違いによる有意な差はなかった。しかし,揚げ調理後では粒子径が大きいと保存期間の経過に伴う過酸化物価の増加量は多くなった。なお,おから製パン粉を揚げ物に用いた場合,調理終了時から16時間以内であれば厚生労働省の規定を満たした品質を担保し,かつ小麦由来の乾燥パン粉よりも過酸化物価は低くなることが明らかとなった。

ノート
  • 長野 隆男
    原稿種別: ノート
    2024 年 57 巻 1 号 p. 34-40
    発行日: 2024/02/05
    公開日: 2024/02/08
    ジャーナル 認証あり

     湿式グラインダー(WG)処理おからが,製パン性と易消化性澱粉(RDS)に与える影響について検討した。まず,WG処理おからパンの最適な加水量を調べた。その結果,WG処理おからの添加量が2%,4%,6%,8%での最適な加水量は,90 g,100 g,110 g,130 gであった。次に,WG処理おからと未処理おからの製パン性を比較した。検討の結果,WG処理おからは,パンの比容積の低下とCFVの上昇を抑制することが示された。また,WG処理おからと未処理おからがパンのRDSに与える効果を調べたところ,おからの添加量が増えるに従ってRDSが低下した。しかしながら,WG処理おからパンは,未処理おからパンと比較して,RDSの減少は確認されなかった。さらに,2%WG処理おからパンは,コントロールと比べて比容積とCFVに差はなく,RDSが52%減少することが示された。以上のことから,WG処理おからは,未処理おからと比べてパンの膨らみの低下と硬さの上昇を抑制でき,製パン性の向上が明らかとなった。

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