2025 年 58 巻 2 号 p. 77-83
植物プロテアーゼを含むとされる9種の食品(いちじく,なし,パインアップル,キウイフルーツ,メロン,だいこん,しょうが,たまねぎ,まいたけ)の食肉の軟化作用について測定条件を統一し,牛もも肉の軟化作用に関する包括的な比較検討を行った。4℃においてカゼインに対する植物プロテアーゼ活性を比較した結果,いちじく,パインアップル,キウイフルーツ,しょうが,まいたけが高い活性を示した。また,SDS-PAGEによって,いちじく,パインアップル,しょうが浸漬液がミオシン重鎖とアクチンを分解することを確認した。しかし,硬さの測定では,いちじく浸漬液で処理した牛もも肉は軟化傾向が確認されなかった。さらに,タンパク質の分解に伴う苦味ペプチドの影響を調べるために味分析を行った。その結果,いちじく,パインアップル,キウイフルーツにおいて苦味先味の増加は認められなかった。したがって,4℃において食肉の軟化作用が期待される食品として,パインアップルを見出した。