2026 年 59 巻 2 号 p. 107-118
戦国期毛利氏に関わる饗応献立が記された『元就公山口御下向之節饗応次第』『益田藤兼・同元祥安藝吉田一献手組注文』『明応九年三月五日将軍御成雑掌注文』『輝元様聚楽御亭江秀吉公御成記』の膳や献の数,それぞれの膳や献の汁や菜の配置とその内容を比較検討した。
4つの史料に記された饗応の膳数,献数は異なっていたが,それぞれの膳や献に配置される汁や菜の数は,膳部では,本膳および二の膳の菜,汁の数は一致しており,いずれの饗応でも,膳部ではかうの物,ふくめ鯛,この子,かまほこが,献部では初献に雑煮,点心に麦が供されていた。また,献部では,4つの饗応で,膳の手前に鳥類や魚類,向うに貝類や海老・くらげが配置されていた。一方,『明応九年三月五日将軍御成雑掌注文』の三の膳では御わけの供御として飯が,点心の献では三ほうせん,まんちう,むし麦に加え,4種の羹が供されており,4つの饗応間で違いも認められた。