抄録
この研究では,水だし煎茶の浸出液を利用して緑色の茶飯を炊飯するのに適した茶の浸出条件を検討した。茶の使用濃度は水の1%,2%,3%,浸出する水の温度は5℃と20℃,浸出時間は4,24,48時間である。茶浸出液中に浮遊する粉末量や液の濁度は,茶の濃度が多くなるほど多く,大きくなり,L*値は小さくなった。5℃ で浸出した茶浸出液のa*値は,浸出条件による変化が小さく,緑色が保たれていた。カテキン類の溶出は,20℃に比較して5℃で少なかった。茶飯では茶浸出液の25%程度の含有量であった。20℃ の茶浸出液を使用した茶飯は緑色味の評価ともに劣り,茶飯に適さなかった。茶の使用濃度2%,茶の浸出時間は24時間とし,5℃で浸出した液を使用した茶飯が,緑色が濃く,茶の味,渋みが適度な状態に炊きあがっていた。