本研究では,中学生の捉えた親の期待に対する認知と外的適応/不適応との関連を検討した。分析1では中学生312名を対象に質問紙調査を実施し(分析対象者225名),外的適応/不適応への関連が予想される3つの期待の認知(期待されていると感じる程度,親の反応予期,期待の受け止め方および期待の受け止め方×親の反応予期の交互作用項)に焦点を当てて,外的適応/不適応との関連を包括的に比較検討した。分析の結果,3つの期待の認知の中で期待の受け止め方が最も説明力が大きく,外的適応/不適応変数を広範に予測できることが示された。分析2では,さらに最も外的適応/不適応への説明力が高かった受け止め方尺度の期待に対する3つの受け止め方を組み合わせて4つのクラスターを作成し,外的適応/不適応との関連を検討した。その結果,反発的感情群の不適応得点が高く,その他の3つのクラスターとの間に有意差がみられた。一方,肯定的感情群は外的適応が最も良好であることが明らかになった。