臨床リウマチ
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総説
関節リウマチの新規治療と課題
山岡 邦宏奥 健志
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2022 年 34 巻 2 号 p. 97-104

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抄録

 生物学的製剤は関節リウマチ(RA)治療に革新的変化をもたらし,JAK阻害薬はその治療効果を経口内服で可能としている.近年,分子標的治療薬の安全性を主要評価項目とした臨床試験の結果が複数報告され,その安全性が改めて注目されている.JAK阻害薬とTNF阻害薬が直接比較検証されたORAL Surveillance試験ではJAK阻害薬の非劣勢が証明されなかった.TNF阻害薬はRA患者でこれらイベントの発現抑制効果が報告されていることから本試験の解釈は複雑である.JAK阻害薬の安全性に問題があるのか,安全性に優れる可能性があるTNF阻害薬に非劣勢を証明できなかったかは明確にできない.この結果は分子標的治療薬導入時に可能な範囲でのスクリーニングの重要性を物語っている.帯状疱疹(HZ)はJAK阻害薬治験によりあらたに着目される様になった有害事象である.しかし,以前よりRA患者ではHZが増加することは知られており,JAK阻害薬はその頻度を約2〜3倍に増加させ,本邦ではさらに2倍程度発症頻度が上昇する.HZ後神経痛などの後遺症を考慮するとサブユニットワクチンであるシングリックスによる積極的予防策を講じるべきである.スクリーニングとワクチン接種に要する労力を考慮すると,分子標的薬の有害事象対策の課題解決に向けてはshared-decision makingという根本的課題が密接に関わっている.

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© 2022 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
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