2016 年 31 巻 5 号 p. 450-461
SGLT2阻害薬は、腎での糖の再吸収を抑え、尿中への糖排泄を増加させることで血糖降下作用を示す。腎近位曲尿細管のNa+/グルコーストランスポーターSGLT2を選択的に阻害する経口薬であり、天然のO-グリコシドであるフロリジンをC-グリコシド化することで代謝安定化させ、さらにSGLT2への高度の親和性と選択性を付与した化合物として創製された。SGLT2阻害薬は、腎糸球体で濾過されて原尿中に移行し、管腔膜のSGLT2に管腔側から結合することによって作用する。血糖値を下げることで糖毒性を軽減し、糖尿病の病態を改善するとともに、心血管死を低下させ、腎保護作用を示す大規模臨床試験の結果が報告され、今後の糖尿病治療への貢献が期待される。