抄録
遺伝子・核酸医薬は安定性や膜透過性が低く、精密な標的化が難しいため、対象疾患や投与法が限定されている。さらなる臨床展開のためには、非臨床・臨床情報を集積し、規制を整備することが重要である。また、生体内安定性や細胞標的性、臓器選択性を付与できる化学修飾やDDSの開発が強く望まれる。国内外で、数多くのDDSが研究されてきたが、未だ実用化は難しく、臨床使用を目的とした安全性や生体適合性を考慮する必要がある。さらにシーズ開発が優先され、臨床ニーズとのマッチングが不十分である。筆者らは、医薬品や食品などに使用されている安全な素材を用いて、遺伝子・核酸医薬に適したDDSを構築した。薬理効果や毒性を検討し、その結果を製剤設計へのフィードバックを繰り返すことで、多機能で安全なDDS(ナノボール)を開発した。ナノボールは無菌的な大量生産も可能で汎用性が高い。高い安全性から臨床への早い応用も期待できる。臨床現場や臨床ニーズの立場から、遺伝子・核酸医薬の開発の課題や展望について考える。