日本皮膚科学会雑誌
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原著
Eccrine angiomatous hamartoma の 3 例,および本邦報告例のまとめ
牧野 英一林 宏明稲沖 真藤本 亘
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2006 年 116 巻 2 号 p. 185-192

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抄録

Eccrine angiomatous hamartoma(EAH)は真皮内エクリン汗腺と血管の増生を主体とする比較的稀な疾患で,1859 年に Lotzbeck により初めて報告された.本邦では 1976 年に sudoriparous angioma の名称で橋本らが記載して以来,現在までに 46 例が報告されている.自験例3 例はそれぞれ74 歳男性の仙骨部の結節,70 歳男性の足底の紫紅色局面,22 歳男性の右下腿の暗紫紅色結節で,いずれも摘出術を施行した.自験例を含めた EAH の本邦報告例49 例の臨床的特徴を検討したところ男女比は 17:32で,平均年齢は20.3歳であった.10 歳未満に発症した症例が 36/49 例(73.5%)と大部分を占めており,単発例が多く 7 割以上を占めていた.好発部位は四肢で全体の 9 割以上を占め,臨床像としては結節/腫瘤が 8 割を占めていた.自覚症状としては圧痛と多汗をそれぞれ6 割の症例にみとめた.さらに本邦報告例49 例を10 歳未満と 10 歳以上の症例に分けて検討したところ,10 歳以上の症例では足底発症例が多く手指発症例が少なく,多毛のみられる頻度が少ない傾向が認められた.

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© 2006 日本皮膚科学会
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