デジタルゲーム学研究
Online ISSN : 2434-4052
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2020年代前半のグラフィックスハードウェアによるSchlick近似の再検証
今給黎 隆
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2024 年 17 巻 1 号 p. 23-32

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抄録
ゲームグラフィックスの世界において、表面の反射を計算する際にフレネルの式を用いることは多い。さらに、フレネルの式を適用する際は、Schlick により考案された近似を用いる場合が多い。しかしながら、リアルタイムレイトレーシングでの偏光を研究していく中で、Schlick による近似がフレネルの式を近似していない場合よりも低速に描画する現象を発見した。今回、現代的なグラフィックスハードウェアでのSchlick 近似に対する再検証を行った。2023 年時点で使われているGPU でのリアルタイムレンダリング及びリアルタイムレイトレーシングでは、速度的な面だけしか考えずにSchlick近似の式の実装を利用しているのであれば、近似をしない無偏光のフレネルの式に差し替えることで、同等のアプリケーションの実行速度で近似による品質を落とすことなく無偏光のフレネル効果が実現でき、実際的であることが分かった。
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© 2024 日本デジタルゲーム学会
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