道南医学会ジャーナル
Online ISSN : 2433-667X
当院における切除不能進行再発胃癌に対するニボルマブの使用経験
畑中 一映吉田 苑永宮本 秀一木下 賢治伊藤 淳工藤 大樹山本 義也成瀬 宏仁
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2019 年 2 巻 1 号 p. 12-16

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抄録
【背景】免疫チェックポイント阻害剤ニボルマブは本邦において2017年9月に胃癌に承認された。日本胃癌学会ガイドライン第5版では、推奨される化学療法レジメン三次化学療法エビデンスレベルAと記載されている。国際共同第Ⅲ相試験比較試験ATTRACTION-2では全生存期間(OS)中央値 5.26ヵ月、無増悪生存期間(PFS)中央値1.61ヵ月、奏効率11.2%と報告された。一方、免疫関連有害事象(irAE)に対してはこれまでと異なる対応が求められる。【目的】当科においてニボルマブを投与した患者の安全性・有効性を確認する。【方法】2017年9月から2018年8月までに投与を行った患者の背景、安全性、有効性を後方視的に検討した。【結果】症例は14例(男性 10、女性4)。年齢56~79歳、進行6、再発8、原発巣は9例で切除。組織型は分化型7、低分化型7、HER2陽性1例。PS 0/1/2が各6例/5例/3例。転移巣は腹膜9、肝7、リンパ節6、副腎2、腹壁1、脳1。3次治療としての投与が8例、4次治療6例。前治療薬歴では5-FU系、パクリタキセル、ラムシルマブは全例に使用。プラチナ系13例、イリノテカン4例、トラスツズマブを1例に使用していた。有害事象では倦怠感12、食欲不振6、下痢6、便秘2などで、Grade3の下痢と便秘をそれぞれ1例認めた。免疫関連有害事象では大腸炎Grade2、甲状腺機能低下症Grade2を各1例、上肢脱力感を1例に認め、大腸炎患者でステロイドを使用し改善を認めた。有効性ではOS中央値5.86ヵ月、PFS中央値3.42ヵ月、治療奏効は2例14.3%であった。【まとめ】当科に於いても既報と同様に忍容性・有効性が認められたが、今後も有害事象対策は他科・多職種と連携を取って診療にあたる必要がある。
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