道南医学会ジャーナル
Online ISSN : 2433-667X
関節拘縮に伴う関節包リンパ管の病態学的変化の観察
-実験系構築に向けたpilot study-
成田 大一外舘 洸平小西 宏明
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2025 年 8 巻 1 号 p. 77-79

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抄録

【緒言】正常な関節機能は、動作を自由かつ円滑に遂行するために不可欠な要素である。関節機能を正常に維持するためには関節内外の循環環境が保たれている必要があり、近年、その恒常性維持にリンパ管が重要な役割をはたしていることが報告されている。しかし、長期固定などによって生じる関節拘縮に伴うリンパ管の病態学的変化は十分に検討されていない。そこで今回、ラット後肢拘縮モデルを作製し、関節包におけるリンパ管を含む循環環境の変化を明らかにすることを目的として、実験系構築のための予備実験を行ったので報告する。【方法】Wistar系雄性ラット1匹を3種混合麻酔薬腹腔内投与による深麻酔下で右膝関節伸展位・足関節底屈位でギプス固定し、ギプス装着下で1週間飼育した。1週間後、深麻酔下でギプスを除去し、関節拘縮の有無を評価するために、右膝関節屈曲・足関節背屈の関節可動域(ROM)を測定した。その後、ラットを安楽死させ、右膝関節・足関節を採取し、4%パラホルムアルデヒド溶液にて4℃で24時間浸漬固定した。固定後、10%EDTA溶液で脱灰し、パラフィン包埋をした。得られたパラフィンブロックを5µm厚で薄切し、HE染色ならびにリンパ管マーカーであるLYVE-1に対する免疫染色を行った。対照群のラット(2匹)に対しては、ギプス固定以外の上記と同様の操作を行った。【結果】対照群ならびに固定前のROMと比較して、固定後の膝関節・足関節のROMは小さくなっており、また固定により部分的な滑膜内皮の肥厚や線維性組織の増生がみられた。LYVE-1はリンパ管のみならず、A型滑膜細胞などのマクロファージ(MΦ)系細胞も標識した。【考察】本モデルは関節拘縮を惹起するモデルとして有用と考えられるが、リンパ管を正確に識別するためにはLYVE-1以外の抗体も用いる必要がある。今後は、標本数を増やすとともに、他のリンパ管マーカーやMΦマーカーを試し、実験系の構築に向けて詳細に検討していく。

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