抄録
チタン鋳造体表面下の鋳巣の発生に関与する耐火物について検討した.コンデンス法によって石英とクリストバライト粉末,および両者とマグネシア粉末の混合物を板状に成形し,高温で焼成した.この焼成板を鋳型として得た鋳造体の断面を光顕観察し,EPMAにより分析した.石英の場合は,鋳込みはほぼ完全で,反応層は典型的な多層構造組織で,鋳巣も少なかった.クリストバライトの場合はほとんどが鋳込み不良で,網状のTi-Si相,クラック,および鋳巣からなる反応層が内部深くに広がっていた.クリストバライトへのマグネシアの添加は鋳込み性を顕著に改善し,反応層も石英の場合に見られる典型的な多層構造組織に変化した.しかし,鋳型壁の方向に長細い鋳巣がαケースの内側にほぼ等間隔に発生し,あたりはSiとMgで汚染されていた.これはフォルステライトとチタンの反応によると考えられる.石英とクリストバライトの反応性の違いを焼成強度と結びつけることはできなかった.